2012年のアメリカ映画「ミッシング・ポイント」です。
リズ・アーメッド、リーヴ・シュライバー、キーファー・サザーランド、ケイト・ハドソンが出演しています。

原題は全く違って「The Reluctant Fundamentalist」です。
読むだけでも大変ですね、これはさすがに邦題が必要です。
「Reluctant」は「しぶしぶ、いやいや」みたいな意味です。
「Fundamentalist」は「原理主義者」という意味です。
「いやいや原理主義者」みたいな直訳になります。

それともう1つ、これは自分の想像なんですが。
最近社会は「原理主義者」というだけで「テロリスト」のレッテルを貼られます。
何かしら危険なことをする奴等と思われがち。
要するに「忌み嫌われる者」の意味でもあるんです。
この映画の主人公が置かれていく現状に当てはめると。
「気付けば嫌われ者に・・・」みたいな意味もあるのかなぁと思いました。

邦題の方はあまりに雑すぎるタイトルです。
もう少し色々考えてからつけてほしいですね。

まず最初にパキスタンでアメリカ人の教授が誘拐されます。
CIAはパキスタンで教授をしていて反米意識の強いチャンゲスがこの事件に関わっていると予想。
現地のCIA工作員ボビーはチャンゲスと接触し誘拐されたアメリカ人のことを問いただします。
するとチャンゲスは自分の生い立ちから話し始めるのでした・・・。

という感じでして、誘拐されたアメリカ人の安否と同時にチャンゲスがどうして今ここにいるのかを辿っていく話がメインになります。

チャンゲスは18歳でアメリカに渡り、一流の会社に入り一流のビジネスマンに。
チャンゲスの才能は周りも認めるほどで、どんどん出世していきます。

時は2001年、9月11日、あの同時多発テロが起きた時。
チャンゲスは出張で海外へ、その海外のホテルであの同時多発テロのニュースを目にするのです。
そして帰国、しかし、パキスタン人のチャンゲスは空港でテロリストのような扱いを受けます。
もちろん関係ないためすぐに釈放されるのですが、それ以降も街を歩くだけで警察に疑われたり、周りの人間からもそういう目で見られるように。
恋人にも自分がパキスタン人というだけで変な目で見られているように感じ始めます。
自分にはテロリストとしての思想も無いのに見た目だけで周りは自分を「テロリスト」もしくは「テロリストの仲間」だと思っていることに気付くのです。

そしてチャンゲスは会社を辞め、パキスタンへ戻ります。
パキスタンで教授として若者たちを教えるように。
次第に反米を教え、若者たちから尊敬され、リーダーのようになっていくのでした・・・。

じゃあ、やはり、今回のアメリカ人の誘拐にもチャンゲスが?
誘拐された男の安否は?

最後まで気を抜けないシリアスな展開に加え、現代の闇をうまく描いてると思いました。

どうしてもやはり、パキスタン人で、ヒゲ面で・・・ってなると、あの911を思い出してしまうものです。
もちろん、これだけで差別してはいけないことは世界中が知っています。
でも、世界は恐いんです、あの風貌が、本当は優しい人かもしれない、本当はテロリストかもしれない、そう考えるだけで恐いんです。

911によって自分の思いとは別にテロリストとして認定されていってしまう。
気付けば自分も反米の意識が強くなり。。。

気付けば「The Reluctant Fundamentalist」となっていた・・・。

オススメ度「55%」