2012年のフランス映画「危険なプロット」です。

フランス語教師のジェルマンは生徒たちに作文の宿題を出します。
まぁ大体がどうしようもない文体の作文を書いてくる中、クロードという生徒の作文にジェルマンは驚きます。
生徒が書いた作文なのにジェルマンはクロードの作文に惹かれて続きが読みたくなるのです。

そのクロードの作文というのがとても変わっていて。
ラファというクラスメイトの家に遊びに行った時のことが書かれているのですが。
「前から入ってみたかった家にボクは今入っている」と書かれていたのです。
クロードはラファの家庭に興味があり、中に入り自分の想像したとおりの家なのか確かめたくなっていたのです。
そしてラファに数学を教えるということで家に行き、ついに自分で見てみたかったラファの家の中を見て歩くのです。
そういう変わった作文のラストに書かれていた言葉は「つづく」。

ジェルマンはクロードにこの作文の続きを書くように指示します。
クロードは毎週末、ラファの家に数学を教えに行き、その時のことを作文にしてジェルマンに提出するという日々が始まるのでした。。。

何とも変わった物語です。
クロードという男子生徒が書いてくる作文を読みながらクロードがラファの家で体験したことをこちら側が更に妄想してしまうという。
ジェルマンはクロードの作文に惚れ込み毎週それを読み、文章の書き方などを教えていきます。
「読者は王様だ、飽きさせるな」と教えながら、この生徒は将来凄い小説家になると確信してるようです。
才能ある子を見つけ育てているという実感と、単純にクロードの作文の続きが読みたいという欲望。

ジェルマンのハマり具合と映画を観てる側のハマり具合がリンクしていくようでとても楽しめました。
自分もジェルマンと同じく「さぁ、クロード早く続きを聞かせてくれ」という気分になるんです。

クロードはラファの家で、ラファの父や母が会話してることなどを盗み聞きしてはラファの家庭のことを調べていきます。
そのうちクロードはラファの母親に惹かれていき、母親と2人きりですごすように。
まさかの展開にハラハラドキドキです。

いったいこの物語は真実なのか、それともクロードが作文のために作った話なのか。
クロードはどこまで本気なのか。
そして読み手を飽きさせないクロードの作文は次第にエスカレートしていきます。

ジェルマンは最初ただ読むだけの安全な立ち位置にいたはずです。
でも、クロードの作文の続きが読みたいあまりどんどん深みにハマっていき、自分も危険なリスクを犯すようになります。
不思議なんだけど、ジェルマンの気持ちも良く分かる。
もうこんな生徒2度と現れないかもしれない、こいつを育てなければという教師としての使命感と単なる作文の続きへの興味心。

クロードが将来どういう大人になるのか見てみたいですね。
本当に偉大な小説家になるのか。
もしかしたら、ずっとおかしなことばかりして暮らすどうしようもない大人になってるのかも。
もしくは、自分の全てを隠して、極普通に当たり前に生きてるふりをしてるのかも。

クロードの物語は、つづく。

オススメ度「54%」