2012年のアメリカ映画「闘魂先生Mr.ネバーギブアップ」です。
原題は「Here Comes the Boom」となっております。

それにしてもヒドイ邦題ですね。
こんな邦題つけた人は逆に「この映画は面白くないから観ないでね」って言いたいんでしょうか。
評論家がけなすために付けたのならまだしも映画会社がこの映画を売ろうとしてつけたとは思えません。

さて、内容なんですが。
主人公のスコットは高校の先生をしているアラフォーのおじさんです。
昔は熱い先生だったのですが、最近やる気無し。
適当に授業して適当に帰宅。

そんなある日、スコットの勤める学校が資金難になり音楽の授業を廃止することに。
スコットは生物の先生なんで関係は無いんですが、ついつい熱くなって「音楽の授業を続けさせる!そのために金を調達する!」と意気込みます。
しかし、額が額なだけにどうにもできないスコット。
ある日、知り合った男の家でUFCの中継を観て、その試合のファイトマネー1試合分で音楽の授業を救えることを知ります。

「よっしゃ!これだ!UFCに出るぞ!」

となるわけでした・・・。

UFCとは、アメリカで大ブームの総合格闘技イベントのことです。
日本でいうところの「PRIDE」です。
ちなみにこの「PRIDE」はUFCに買収されたことで無くなったわけです。

総合格闘技とは、殴る、蹴る、投げる、しめ技、何でもありの格闘技です。
とても素人がパッと出てパッと活躍出来るスポーツじゃないんです。
ほとんどの選手が小さい頃からレスリングや空手や柔道といった格闘技をやってた人達ばかりで、最近では総合格闘技を小さい頃からやってる人もいます。
要するにアラフォーのおじさんがいきなり出れる大会じゃないんですね・・・。

かなりの時間と年数をかけないとUFCに辿りつくまでを1本の映画で描くことは不可能です。
なのに映画が始まって「UFC」の文字が出るまで20分かかります。
急がないとUFCに辿りつけずに終わるぞ・・・。

スコットは地道に地下格闘技みたいな大会に出場、んで負けます。
マイナーな大会にエントリーして勝ったり負けたりして、何故かUFCからオファーが。
もうメチャクチャにもほどがあります。
UFCに出場するにはいったいどれだけ厳しい審査があると思ってるんでしょう。
スコットみたいな選手をいきなり大抜擢するはずがない・・・。
しかもデビュー戦がラスベガスのMGMガーデンで客超満員て・・・。
UFCの大ファンなだけに、あまりにUFCを軽視した展開にウンザリしました。

このブログで「早くUFCを題材にした映画が観たい」と言ってきましたが、こういうのを観たいわけじゃない。
もっと真面目で熱いのを観たいんです。
「ロッキー」のUFC版みたいなのを観たいんです。

しかし、試合のシーンとなると、そこはかなり迫力がありました。
殴り、蹴り、投げ、寝技などを映画としてうまくカット割して見せていました。
試合のシーンだけは合格です。

もうどうしようもない映画なんですが、UFCの協力によって物語とは関係無いところが豪華で楽しめました。
まずオクタゴンと呼ばれるUFCのリングが本物です。
選手をコールして客を煽る人を本物のブルース・バッファーがやってます。
ジョー・ローガンもリングサイドにいますし、レフリーはハーブ・ディーンです。
何とインターバルで出てくるカットマンも本物のカットマンでした。

主人公に総合格闘技を教える陽気なおじさんは、あのバス・ルッテンです。
日本でも「キング・オブ・パンクラシスト」として有名で、UFCでヘビー級のチャンピオンにもなった男です。
そんな伝説のバス・ルッテンですが、演技が超うまい。
バス・ルッテン知らない人は普通に役者だと思って観たと思います。

他にもチョイ役でチェイル・サネンとかヴァンダレイ・シウバまで登場。
日本人の石井慧もちょこっとだけ出てきます。
柔道の金メダリストを雑に使ってます・・・勘弁してよ・・・。
てか、石井はUFC関係ないけど。

この映画でスコットがデビューするUFCの大会が「UFC176」とされていました。
ちなみに現在「UFC170」くらいなので「176」はまだ行われていません。
おそらく今年の夏くらいに176に到達するんでしょうね。
もちろん、スコットは出ません。

更に、ちなみになんですが、この映画の「UFC176」でのメインイベントはシェイン・カーウィンvsジュニオール・ドス・サントスとなっていました。
もうカーウィンは引退したのでこの試合が夏に行われることは無いのですが、2011年に2人は実際に戦っています。
結果は、ドス・サントスの勝利、カーウィンの現役最後の試合となっています。

オススメ度「30%」