
2011年のアメリカ映画「ベルフラワー」です。
監督・脚本・主演・製作・編集すべてをエヴァン・グローデルという若手がやっています。
全部やるってすごい才能ですね。
物語の舞台はロサンゼルスのベルフラワーという場所です。
無職のウッドローとエイデンという青年は火炎放射器が搭載された車を作ろうと改造する日々をすごしています。
これは「マッドマックス2」という映画に登場したヒューマンガスという悪役の車です。
何故か「マッドマックス2」のヒューマンガスに憧れ、何故かそのままの車を作っているのです。
そして夢はその車を乗り回し、火炎を放射しまくるということ。
もうこの時点でかなりイカれた男の話だなってのは分かりますね。
でもこの映画、ここからバイオレンスな展開になっていくわけではありません。
映画の柱はラブストーリーなんです。
どうしようもない青年ウッドローは酒場でどうしようもない女ミリーと出会います。
ミリーはその酒場で虫食ったら賞金あげるみたいな企画に参加してた女の子なんです。
自由奔放なミリーのことが大好きになったウッドローはミリーと付き合うことに。
しかし、ミリーはウッドローを裏切り他の男と・・・。
浮気の現場というか、その真っ最中に帰宅し目撃してしまったウッドローはミリーと別れることに。
しかし、ミリーのことが忘れられない。
ウッドローの心はどんどん病んでいくのでした・・・。
もうほんとに「やるせない」という言葉がよく似合う映画です。
最初から最後までずっと曇り空を眺めてるような映画でした。
でも、その曇り空から目が離せない不思議な映画でもあります。
ウッドローのような経験は無いものの、何故かウッドローに妙に同情してしまったり。
火炎放射器の車なんか最初は「ダッセー」と思って観てたのに、最後の方で「やったな!ウッドロー!」と褒めてあげたくなるのです。
ダメ男の中のダメ男みたいなウッドローなんですが、男的には嫌いじゃないタイプなんです。
もちろん自分が女性だったらウッドローなんかと付き合いたくないんですが。
ラストがとても好きな映画です。
男の失恋というのは未練たっぷりで、まだかっこつけようとする無様な部分があります。
ネチネチしちゃうんだけど、ネチネチしてないですから!って強がったり。
別に好きとかじゃないし!ムカツクだけだし!なんて言いながら声を聞きたくなっちゃったり。
ウッドロー・・・、悲しいぜ・・・。
とにかく男向けの恋愛映画だと思います。
女性が観ても「キモい男だ」で片付けられるかもしれません。
男が観ると「ちょっと気持ちが分かっちゃう」んです・・・。
カップルで観たら意見真っ二つ、男友達同士で観たらちょっと恥ずかしい、そんな映画でした。
オススメ度「67%」