$塩かけると甘くなる映画

1985年のアメリカ映画「カラーパープル」です。
スティーヴン・スピルバーグ監督による人間ドラマです。
出演はウーピー・ゴールドバーグ、ダニー・グローヴァーでして、セリフ少なめですがローレンス・フィッシュバーンも出演しています。
アカデミー賞で非常に高い評価を受け10部門にノミネートされましたが、受賞は1つも無かったようです。

物語は1900年代のアメリカ。
人種差別の激しい時代、黒人は差別を受けて生きていました。
セリーは幼い頃から父親に性的暴力を受け続け、13~4歳で2人の子供を産んでいます。
その2人の子供も産まれたその場で連れていかれました。
セリーには妹がいて、父親は妹にまで手を出そうとしています。
ある日、セリーはアルバートという男の家に嫁ぐことに。
見たことも話したこともないアルバートのもとへ強制的に送られるのです。

アルバートの家に行ったセリーはそこでも暴力を受けます。
毎日アルバートに怯えながら奴隷のような生活をしいられるのです。
そんなある日、妹がアルバートの家に逃げてきます。
父親に怯えてのことでした。
もともとアルバートは美人な妹の方を嫁に欲しかったというのもあり、妹が同居するのを許可します。
そしてやはり妹に手を出そうとするアルバート。
それを拒んだ妹はアルバートの怒りを買い、家から追い出されるのでした。
またしても離れ離れになったセリーとその妹。
セリーの奴隷のような生活は続いていたのですが、アルバートの元恋人で歌手のシャグが家にやってくることでセリーは変わっていきます。

正直この映画の物語を書くとそれだけで終わってしまいそうです。
他にも色んな登場人物がいて、その人達の長い長い人生の物語を追っていくというもの。
映画も2時間半の長いものでして、観終わったあとに全10話のテレビドラマを観たくらいの見ごたえがありました。

自分の子供をバカにされたことに腹をたてた黒人女性が白人男性を殴るという場面があります。
このあと黒人女性は長く刑務所に入れられることになりますし、そこで受けた暴力なのでしょう目がふさがり片足は引きずって歩いています。
ただそれだけで何年も刑務所というのは考えられないのですが、当時、黒人が白人を殴るというのはそれくらいタブーだったのでしょう。
もし白人が白人を殴っても、ただの喧嘩で終わりでしょうからね。

そんな酷い時代なんですが、黒人達は元気に生きています。
白人と会わなければ彼らの生活は悪くはないようです。
もしかしたらこの映画に出てくる黒人家庭は当時でも裕福な方だったのかな。

白人が黒人を差別するという時代ですが、黒人の家庭では男が女を差別するのです。
つまり黒人の女性というのは一番最下層で暴力を受け続けているのです。
男の言われるがまま奴隷のように働かされる。
悲しい時代ですね。

さて主演したウーピー・ゴールドバーグですが、この映画がデビュー作です。
体格が良くて元気で笑顔なイメージのウーピーですが、この映画の頃はまだ痩せていて細いんです。
役柄が耐え続ける女性というのもあって、終始うつむきがちで怯える女性を演じています。
あまりに今と違いすぎるので、ぼーっと観てたらウーピーだと気付かないかも。

スピルバーグの映画のイメージは「宇宙人」「ロボット」などのSFな感じがしますが、こういった人間ドラマも描いているんですね。

オススメ度「54%」