2011年のアメリカ映画「ツリー・オブ・ライフ」です。
ブラッド・ピット、ショーン・ペンが共演しています。
共演といってもラストで少し接触する程度で掛け合いのようなものはありません。
2011年のカンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞しています。

生命の樹というタイトル通り、中々ドえらいことになってる映画でした。
まず「生命の樹」の説明をしておきます。
生命の樹とは旧約聖書の創世記にエデンの園の中央に植えられた木のことです。
その生命の樹の実を食べると、神に等しき永遠の命を得るとされています。

そういうのをある程度知っていたらこの映画は「ドえらいことになる」と直感出来るでしょう。
自分はあまり詳しくなく、あまり深く考えず、「わー、ブラピの映画だー」ぐらいの気分で観始めました。
そしたらどうでしょう。
序盤から永遠のように続く抽象的な映像の連続。
よく分からない展開、全く伝わらない不思議な演出。
続く・・・続く・・・それが永遠のように続くこと50分。

映画館ではここらへんで3分の1くらいの人が深い眠りについたことでしょう。
お待たせしました。
ここからやっとこさ物語が始まります。
この50分間を耐えた者のみにストーリーを知る権利が与えられるわけです。

おめでとう、おめでとう、おめでとう。

もう何観てるのかすら分からなくなった頃、ブラピ演じるオブライエンの家族の物語が始まっていきます。
それまでは「天地創造」的な映像集だったので、ここからが「人類」の話ということなんですかね。
そのオブライエンは妻と3人の息子と一緒に暮らしています。
オブライエンは厳格な父であり、家の中では絶対的な存在です。
子供達は父に怯えて暮らしていて、父の言うことを絶対に守り、はむかうことは許されません。
抑圧された家の中、母だけが子供達の癒しでした。

このオブライエンを演じたブラッド・ピットが見事でした。
下唇を前に出し、いつも不機嫌そうな顔をする50年ほど昔の厳格なアメリカン・ファーザーを演じています。
日本でもこの頃の父はちゃぶ台をひっくり返す的なイメージがありますね。
この時代は世界中の父親が絶対王者だったのでしょう。
それに比べて2000年代の父親達の弱体化。
嫁にバカにされ、それを見て育った子供達も父親をバカにし、居場所の無くなった父は職場でも頭を下げる。
居場所なんて何処にも無い・・・、でも、俺はこれでいいんだ・・・。

何と哀しき21世紀の男達。
彼らにこの映画を見せ、「よーし、今日から俺もちゃぶ台ひっくり返してやる!!」と決心してもらいたいものです。

そんなコメディな映画じゃないのがこの「ツリー・オブ・ライフ」。
最初の50分を「素晴らしい表現の連続だ」と取るのか「退屈だ・・・監督の自己満足だ・・・」と取るのかで大きく評価が分かれると思います。
自分は後者なんですが、眠くはなりませんでした。
全く意味は分からないんですが、「何か凄いんだろうな」という感じで必死に観ました。
「自分は芸術肌だ」と自負する人は観た方が良い映画だと思います。

で・・・、恐竜のシーンとか、ひまわりの花とか、鳥がわーっと飛んでたりとか、どういう意味だったのよ。

オススメ度「40%」