2008年のフランス映画「ジョニー・マッド・ドッグ」です。
日本では2010年に公開されています。
「アメリ」のニノを演じたマチュー・カソヴィッツが製作として参加しています。

舞台はアフリカのリベリア。
リベリアは1999年頃から2006年まで無政府状態で国は内乱ばかりでした。
政府軍と反政府軍がひたすら戦う泥沼の内戦。
子供達は銃を持たされ街を襲い、強盗、殺人を繰り返すという状況。

その政府軍と戦う反政府軍の少年兵ジョニーが主人公です。
ジョニーは「マッド・ドッグ」と名乗り銃を持ち街を襲い、金品を奪い、人を殺すという毎日。
ジョニーも含め10数名からなる少年兵達はそれぞれが本名ではない名を名乗り何のために戦っているのかも分からない殺し合いを続けるのでした。

という感じで、あまりストーリーというストーリーは無いです。
セリフも極力少なくて、ひたすら少年達の狂気を映し続けています。
少年兵を演じた子供達の中には本当に当時少年兵として戦っていた子達も混じっているそうです。
そのせいか恐ろしいほどの殺意と冷たさを感じました。
この映画は国連本部でも上映され、世界中に衝撃を与えました。
いったい何のための戦争なのか、戦争はいつ終わるのか、自分達の今後はどうなるのか、何1つ分からず子供達は酒を飲みタバコを吸い、女を犯します。
大人達はこの子供達を道具のように命令し殺戮を続けさせ、時に麻薬を与え意識を飛ばします。
当たり前のように死んでいく仲間を見ながら少年達は何を思ったのでしょう。

このジョニーの部分とは別に進行する1人の女の子の話もあります。
父親は両足を失い身動きが取れず、幼い弟と暮らしているのですが、そこにジョニー率いる少年兵がやってきて街を襲います。
弟とはぐれ、父親は撃たれ殺されます。
1人になった少女はラストでジョニーと会い、怒りをぶつけます。
少女が被害者でジョニーは加害者、なのですが、実はお互いが被害者なのです。

何も救われないアフリカのリベリアという国で実際に起きていた恐ろしい戦争。
少年の表情や狂気の行動を目にすることでいかに平和というものが大事かを考えさせられました。

オススメ度「62%」