2008年のアメリカ映画「フローズン・リバー」です。
低予算で作られたマイナーな映画ですが、主演したメリッサ・レオはアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされました。
更に同じアカデミー賞の脚本賞にもノミネートされています。

トレーラー暮らしをする主人公の女性レイは貧乏ながら息子2人をなんとか養っています。
父親はギャンブル好きで、現在家を出ています。
レイは何とかがんばって新しいトレーラーを買おうとするのですが、お金に困ってしまいます。
そんな時、モホーク族のライラという女性と知り合い、そのライラがやっている密入国者を運ぶという仕事をレイは手伝うことにするのでした。

日本人にとってトレーラー暮らしというのはいまいちピンときませんね。
分かりやすく言うと大型トラックの荷台の部分を家に改造したと考えてください。
アメリカでは自分の家を買えない人達がたくさんいて、その人達はトレーラーを買って中に住むんです。
主人公のレイはお金をためて新しいトレーラーを買おうとしてるのですが、ここだけを見てもどれだけお金に困っているか理解できますね。
普通お金を貯めて家やアパートを借りるなら分かるんですが、お金をためてもレイのトレーラー生活は続くという苦しい状況なんですね。
そんな中、ライラのやっている違法の仕事の報酬はレイにとって魅力だったのでしょう。
息子2人がいてお金が無いため上の子は学校に行かずに働くとまで言い出しています。
そんな切羽詰った状況でも親として学校だけは何とか行かせたいという気持ちから犯罪に走っていくという部分を描いています。

レイ自身も素晴らしい人間とは言えず、人としての汚い部分やダメな部分を持っています。
完璧な人間がトレーラーハウスから抜け出してハッピーエンドへという映画ではないんです。
こういう人間だからこういう生活になってしまったのか、荒んだ生活が人の心を暗くしていき生活は悪化していったのか、ということも考えさせられます。

レイとライラがやる密入国者を運ぶ仕事の途中で凍った川の上を車で走ります。
何度も何度も危険をおかしながらその凍った川の上を渡ります。
これがタイトルの「フローズン・リバー」で、一歩間違えば氷は割れて車は沈んでしまうという状況と今彼らが置かれている状況が合わさった意味だと思います。
観ている側は感情移入して観るというよりは、ただただレイとライラの危険な綱渡りを遠くで傍観しているような気分にさせられます。
そして彼女達は更に危険をおかしていくのでした・・・。

オススメ度「57%」