2009年の香港映画「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」です。
タイトルが何だか臭いですね、でも中身はもっと臭いんですよ。
香港では「復讐」のような意味のタイトルになっています。
監督は香港映画の大御所ジョニー・トーです。

物語は自分の娘夫婦と孫たちを殺された男がとある殺し屋達に復讐の依頼をするところから始まります。
娘だけはかろうじて生き残ったのですが、他は全て殺され、その有様に父コステロは復讐を決意したのです。
殺し屋3人組はこの依頼を受け、コステロの家族を襲った奴らを探し出します。
そしてその男達を殺すのですが、実は黒幕がジョージ・ファンという男だということを知ります。
ジョージ・ファンは殺し屋3人組のボス、必然的に殺し屋3人組はボスと対立していくことに・・・。

という感じの映画です。
全体通して「男臭さ」が充満している映画です。
コステロが依頼した殺し屋3人組ですが、黒幕が自分達のボスと知った時に逃げることも出来たはずです。
でも彼らは「乗りかかった船だ」の一言で片付けてしまうんです。
更にボスが電話で「お前らは敵なのか?」と問いかけてきます。
それを皆さんだったら何と答えますか?
この映画の殺し屋はボスにこう答えるんです、「お互い、よく分かってるはずです。」と。
そしてすぐ電話を切る・・・。
ク~~~、男臭い。
声を荒げるでもなく、ビビって戸惑うでもなく、話し合いを持ちかけることもなく。
これが男達の戦いだという臭さ、プンプンくる男の臭さ・・・、大好きです。

しかし、殺し屋に依頼したコステロ本人に問題が。
昔どうやら同じ殺し屋みたいな仕事をしていたらしいコステロですが、その時頭を撃たれ、記憶がいつ飛んでもおかしくない状態だったのです。
その心配どおりコステロは自分の娘が撃たれたことも孫達が殺されたことも忘れてしまいます。
復讐するということを忘れてしまうのです。
しかし、ここから更に男臭い展開が待っているんです。
殺し屋は何もかも忘れてしまったコステロの依頼なんか捨てて逃げればいいのに、何1つブレることなく仕事を続けるんです。
例えコステロが忘れても、受けた依頼はこなすブレない男気、男臭さ、生き様が描かれています。
殺し屋3人組は記憶を失ったコステロを安全な場所に避難させ、3人だけで戦いを続けます。
そして3人は無残に殺されてしまい、テレビニュースに3人が死んだことを知らせるニュースが。
それを見たコステロ、記憶は戻らない、が、俺は何かをしなければ、俺はこの3人組を知っている、誰だ、そうだ、こいつらは、友達だ・・・。
コステロは立ち上がり、銃を握り、最後の戦いへ向かうのです・・・。

もう、渋すぎて何も言えません。
その展開をセリフ無しで役者の表情、満月、夜の海、死んだ者達の幻像だけで充分に伝え、戦いのシーンへ移るんです。
少年達の友情ではない、いい大人のおっさん達の男臭さが最高にグッとくる映画です。


オススメ度「69%」