◆韓国からの直行便が来た!(1)
 5月29日、離島の小さな空港に国際線が開通した。

宮古島にある宮古空港は滑走路が2000mなのでダメなのだが、下地島空港は滑走路が3000mあるので大型機が離着陸できるそうだ。
コロナ前に下地島空港には香港便と台湾便の開通が確定していたが、コロナで急遽中止になり、その後延期されていた。
2023年3月にコロナが解禁されたので、離島の空港関係者が念願の国際線開通を求め再調整したのだが、香港便と台湾便は動きが鈍く、何故か韓国便が先に開通する事になった。

宮古島市民にも国際線開通のアナウンスがされた4月下旬から、島の住民の間では;
「俺パスポート作ろうかなー」
「おおー、韓国旅行に行くのか?? 俺も海外へ行ってみたいさー」
「そうだよなー」
というような会話が聞かれるようになったそうだ。


一方、レンタカー屋では色々と大変な事になっている。
先ず、
どこで調べたのか? うちの会社のホームページに
「私韓国人。レンタカー借りるできますか?」
というような問合せのメールが怪しげな日本語で届くようになった。頻度は1週間で10人以上だ。
日本語か英語ならばいいのだが、全文「韓国文字」で送りつけて来る愚か者もたまにいるので、
「当社では韓国文字は判別できませんので、日本語か英語で送付ください」と返信して、後は放っておく。

翻訳アプリを使えば日本語に判別できるのかもしれないが、そんな非常識な客は貸出し後にも他のトラブルを起こしてくれそうなので、できれば避けたい。ハハ。

そして、
5月29日15:10、第1便が定刻に下地島空港の到着した時には、「ミス宮古島」や市の職員が法被姿でお出迎えしていた。
 

当日、わが社の第1号客は、男性2人(20代半ば)と、女性2人(20代半ば)の2組だった。
男性AさんとBさんは、レンタカーにも英語にも慣れているようでスイスイと手続きを終えて、出発していった。


女性CさんとDさんは、英語は分かるが、車の運転自体に慣れていないようで、エンジンのかけ方等が分からない。

今後の為に、あえて(英語が超苦手な)Sさんに対応の実地研修をさせてみた。

Sさん 「これがあなたのキーです。先ず車のドアーを開け、エンジンをかけてみて下さい」 
英語は話せないので、俺が作った「日本語・英語併記の貸出し時の会話集」を相手に見せて、指差しながら意思の疎通を進めていた。

Cさん 「はい、分かりました」 運転席に座って、エンジンボタンを押していた。

Sさん 「ブレーキを踏みながら、エンジンボタンを押して下さい」 会話集で相手に指示していた。

Cさん 「はい」 一生懸命に右足でアクセルを踏みながらエンジンボタンを押していた。

Sさん 「いやー、ブレーキはこっちです」 さすがに会話集に無いので、日本語で話しながら指さしていた。

Cさん 「ああー、そうですね」 左足でブレーキを踏みながらエンジンボタンを押した。
漸くエンジンがスタートした。

Sさん 「フー」 想定外の客に苦戦していた。

Cさん 「大丈夫です!」 笑いながら、顔が引きつっていた。
次にアクセルを空ふかししていた。


Cさん 「前に進まないです」 窓を開けてSさんに訴えていた。

Sさん 「シフトレバーをDに入れて下さい。このキューブはここに付いてます」 これも会話集に無いので、日本語で話しながらコラムシフトの位置を指さして教えていた。

Cさん 「あー、分かりました。大丈夫です」
キューブはそのまま前進を始め、出口と逆の行き止まりの方に向かって進んで行った。
最近更に太ってきたお腹を揺らしながらSさんがキューブを追いかけて走って行き、20m先で捕まえて進行方向させていた。
こうして若い韓国人女性を乗せたキューブはフラフラと走り去って行った。

Sさん 「まじ、やばいっす!」

俺 「あのキューブを原型のまま見るれのはこれで最後のような気がするなー」


Sさん 「間違いないっす・・・。
   どうせなら、一番ボロい車を貸し出せばよかったかも。保険で全部治せますよね」

俺 「俺もそんな気がしますよ。ハハ」

Sさん 「でも韓国人の女性は整形で美女ばかりかと思っていましたが、普通でしたね」

俺 「そうですね。整形前なんでしょうね。ハハハ」


31日14:30、予定通りにCさんたちが返却に来たのが見えた。
キューブのキズを心配していたSさんが急いで車を確認に行って、オフィスに戻ってきた。
Sさん 「左の後輪の上あたりがこすってますが、意外にもそれ以外の大きなキズは無いようです」

俺 「まじっすかー!!」 車をぐるりと見て回ったが、確かに1ヶ所のこすりキズ(直径15cm位)だけのようだ。

Sさん 「意外ですね」

俺 「奇跡的ですねー」

我々が関心していたら、CさんとDさんが荷物をまとめ終わり、スーツケースを送迎車に積み替えてあげた。

Sさん 「このこすりキズどうします?」

俺 「多分、警察には通知していないだろうから、保険は適応できないので、自腹払いだよねー。
  ミスD、済みませんがこのキズはあなたが運転でつけたものと思われますが、警察に通知しましたか?」

Dさん 「??
 私は全然知りません。誰とも事故を起こしていません。誰かにぶつけられた事もありません。
 なので警察にも通知はしていません」
すぐに自分のスマホで「貸出時にキズのチェックをした時の画像」を確認していた。

俺 「そうですか、でもここにキズがありますよ」

Dさん 「そうですね。確かに以前は無かったキズなので、私が運転中につけたキズだと思います」
その時、トイレに行っていたCさんが戻って来た。

Cさん 「どうかしましたか?」 Cさんの方がより英語が得意なようだ。

俺 「新しいキズが見つかりました。
  Dさんは警察には通知していないそうです。今後の対応としてあなた達は2つの案が選択できます。
1案:今すぐ警察に通知し、事故証明書を発行してもらい、自動車保険を使って修理する。
 但し、警察との現場検証や自動車保険会社への申請などで約2時間かかります。つまり本日のフライトには間に合いませんので、明日のフライトに変更する必要があります。


2案:警察には通知せずに、自動車保険は申請せず、あなたが自分のお金で支払います。
 30分以内に完了しますので、今日のフライトには間に合います。
どちらがいいですか?」

Cさん 「えー! 明日仕事があるので、今日のフライトには必ず乗る必要があります。
 でも本当に、私たちは事故は起こしていません。もし先に気づいていたら、すぐに警察に通知していますよ」 顔が引きつっていた。

俺 「そうですよね。あなたの気持ちはよく分かりますよ」 個人的には同情しているが、キズの修理は必要だ。

Dさん 「自分で支払う場合はいくらかかりますか?」

俺 「Sさん、これいくらだと思いますか?」
英語のやり取りが理解できずに後ろで静観していたSさんに意見を求めてみた。

Sさん 「今迄の経験では、通常5万円くらいなのでは・・・」

俺 「そうですね。私もそう思います。
  ミスD、このキズの修理費用は約5万円になります」

Cさん 「えー、5万円―! レンタカー料金は1万4千円なのにー・・・」 
とても不満そうだった。しかし、彼女たちは「自分の責任を否定する発言」は一度もしなかったところがエライなと感じた。日本人の若者ならば「色々とばっくれる」かもしれないけど・・・。

俺 「OKでは、今警察に通知して、事故証明書ができるかを聞いてみましょう。
 ピピピ、110番と。
すみません、レンタカーのお客様が自損事故をされて、『いつどこで擦ったのかわからない』そうです。事故証明はでますか?」

警察の係員 「事故証明を出す為には、場所と日時が分かっていて、再度その場所にでかけて行きキズの位置が一致するのかを検証する必要がありますよ。

場所と日時が判明してから再度連絡くださいね」

俺 「なるほど、お客様は外国人で日本語は分からないようですが、警察に英語を話せる方はおられますか?」

警察の係員 「時間がかかりますが、英語の担当者も同行できます」

俺 「了解しました。再度お客様に聞いてみます」
俺が電話を切った時、Sさんがスマホに「お金を払います」と表示された画面をみせてくれた。

Sさん 「今、韓国語の翻訳アプリでCさん達の会話を翻訳してみたら、こんな会話をされていたようです」
Z世代のSさんは、仕事は怠けていつも遅いが、ネット検索などは超速い。ハハ。

俺 「ミスC、今警察に確認してみましたが、『場所と時間が分かり、現場で確認できないと、事故証明書は発行できない』そうです」

Cさん 「そうですか。私達はお金を支払います。今日中に帰国する為には、他に選択肢が無いし・・・」

俺 「了解しました。ではオフィスにどうぞ」
Cさん&Dさんと一緒にデスクに戻り、クレジットカードの決済端末を準備した。

Cさん 「現金が8千円だけ残っていますので、残りをクレジットカードで支払います」

Sさん 「いやー、現金はちょっとー・・・」  いつも通り現金を拒否しようとした。

俺 「了解しました。では残り42000円をクレジットカードでお願いします」
Sさんの言い分を遮って話を進めた。

Cさん 「はい」
Cさんが渋々クレジットカードで支払いをしてくれた。

俺 「では、これはディスカウントです」 俺は一旦受け取った現金8千円をCさんに手渡した。

Cさん 「えっ、本当に! ありがとうございます!!」 こわばっていたCさんの表情が少しほぐれたようだ。

このあと、俺がCさんとDさんを空港まで送迎し、空港で荷物を下ろしてあげた。
俺 「残念ながら、今回は小さなトラブルがありましたが。これで日本を嫌いにならないで下さいね!」
笑顔で丁寧に伝えた。

Cさん 「大丈夫です! 私は日本が大好きなんですよ。ウフ」 
笑顔のCさん、Dさんと軽く握手をして見送った。

 

15時過ぎ、オフィスに戻るとSさんがキューブを片付けていた。
Sさん 「Kさんがいてくれてよかったですね。俺だったら、途中で諦めて修理代を取りっぱぐれていましたよ。ハハ」

俺 「またA社長に怒られますよ。ハハハ」

Sさん 「でも、現金8千円返して良かったですよねー。
  あのままだとネットの口コミで
『だまされた! お金をとられた! 最低のレンタカー会社だー!』 とか書かれるところでしたよ。
あそこで現金を返してお客様が『得したー!』と思われてますから、非難の口コミは大丈夫ですよ、きっと」

俺 「そうなるといいですね。
  ところで、もしあの2人のうち1人がSさんの好きな『深田恭子に似た美女』だったらどうしてましたか?」
答えは見えていたが、念の為に聞いてみた。

(詳細は、ブログ「あこがれの離島生活 (20) 3人目の社員!大丈夫?」を参照ください)

Sさん 「いやー、深キョン相手だったら、お金なんか全然請求できませんよ、ハハハ」

俺 (やっぱりかー・・・)

こうして、韓国直行便第1号客のトラブルがなんとか収まったようだ。ハハハ。



◆犯人は誰だ4!
俺は元来犬派なのだが、離島では近所の猫たちと仲良くする事になった。

最近、仔猫たちも増えて、俺も忘れがちなので続柄をまとめてみた。
 

 5月下旬、朝起きて寝室のふすまを開けたら、茶トラ3がリビングに残っていた。すぐに俺の足元にスリスリしてきた。
 

毎晩寝る前に、俺は部屋のあちこちで遊んでいる仔猫たちを1匹ずつ探し出して、ドアーの外に出してから寝る事にしている。そうしないと、夜中にリビングの中で「大運動会」をされたら、うるさくて寝れないし。ハハ。


しかし、最近小トラ、茶トラ3、八ワレ1達の「隠れる技術」が向上したのか、全員外に出したつもりなのに、リビングかキッチンに残っている事が何度かある。或いは、単に俺が「老人ボケ」なのか??

朝ドアーを開けて、他の仔猫たちを部屋に入れ、エサの準備をしている間も茶トラ3はずっと俺の足にすり寄って来た。よっぽど一人で寂しかったのかもな。

仔猫たちに朝のエサをあげて、自分の朝食を食べおわり、俺は寝室に戻り寝転んで休憩していた。
約1時間経って、出勤時間になったので、服を着替えてキッチンの後ろにある洗面所に行き、歯磨きをして出勤準備をしていた。

仔猫たちは食後の散歩にでかけたようだ。
その時、足に何かを当たったのを感じて机の下を見たら、
 

謎の「カニの爪」が1つ落ちていた。
猫はカニも食べるのだろうか??

良くみると、更に奥に、
 

謎の「小鳥」も落ちていた。
どうして食べずに放置したのだろうか??

とにかく、カニと小鳥は割りばしでつまんで、ドアーの外に出しておいた。多分仔猫たちが持っていくだろう。


仔猫たちの狩猟能力がどんどんアップしてきたようだが・・・。
俺に見せに来なくていいから。やれやれだぜ。