ダイエットと筋トレの為、俺は配送ドライバーのアルバイトをする事にした。

 

◆研修延長と先輩の不満:

 通常T社の配送業務では「新人の研修は5日間」行われ、その期間は1便あたりの配送先は4軒に限定される代わりに報酬は20%カットされる。

研修が終わると配送先は5軒(多い日は6軒)となる。

俺は無理して膝の再発を防ぐ為に、Y社長と相談し5月の1ヶ月間は「研修扱い(作業量は4軒で、報酬は20%カット)」でお願いする事にした。

 

配送グループ内では、俺に対し色々な反応が出て来た;

 

・N班長(60代前半、元大手配送会社勤務、大柄、口数が少ない) 「まあ、社長も同意してはるから5月は減らしとくけど、研修期間が終わったら5~6軒は行ってもらうからな」

・Kリーダー(50代後半、元不動産会社経営、面倒見がいい) 「猪田さんは能力的には大丈夫やけど、膝の故障が心配やから4軒でも仕方ないなー。早よう治してや」

・A指導員(40代後半、元ITエンジニア、生真面目) 「もう業務の進め方が安定しているので、階段が無ければ1日5軒でも大丈夫ですよね」

・Bさん(60代後半、元大手配送会社勤務、大柄、気分屋、ボケが出始めている) 「ワシの荷物がめっちゃ多いやんか。なんでイノちゃんだけ甘やかしてるんや(イヤつく)?

  そうかイノちゃんは給料カットされるんや。あかんなー、ガハハ」

・Cさん(60代中盤、元大手配送会社勤務、大柄、無口) 「周りに迷惑かけんなよ」

・Dさん(30代後半、元ヤン、無口、力持ち) 「怪我なら、仕方ないっすよね」

・Eさん(20代後半、無口、仕事が早い) 「お疲れ様っす」

 

 

◆階段用3輪キャリー2号登場:

 Amazonで発注した「業務用の階段用3輪キャリー(2号、約17000円)が5月下旬に中国から自宅に届いた。包装はボロボロだったが、組み立てたら機能は活きているようだ。自宅マンションの階段でテストしてみたが、車輪の直径が15cmで階段の段差がほぼ無いので車輪の着地音も以前より気にならない。翌日早速現場に持ち込み、チャンスを待っていた。2便で市内マンション(エレベータ無し)の4階へ荷物3個の配送依頼が回ってきたので、階段テストしてみた。

メリット:3つの荷物(約30kg)を1度の上げる事ができる。無音では無いが音は許容範囲。

デメリット:時間が2倍かかる(キャリーの取出し、荷物の固定、階段引上げ、等)、キャリー自体が重い(11kg)

 

他の配送員は荷物2個を同時に上げる人もいるが、

膝をかばう俺にとっては1個づつの荷物を3往復するよりは全然メリットがあると判断した。

配送終了後、会社に戻り他の配送員にも説明してみた。

 

猪田 「ようやく3輪キャリー2号が入手できました」

Kリーダー 「おおー、よかったやんか」

猪田 「はい、ありがとうございます」

A指導員 「音はどうですか?」

猪田 「はい、1号よりは設置音が小さくなりました」

Kリーダー 「1号より大きいな、何kgあるんや?」

猪田 「11kgです」

Kリーダー 「11kg!、それやったら、荷物が1個増えたんと同じやんか」

猪田 「いいえ、車から降ろす時は重いですが、引っ張るときは..」

Cさん 「荷物を運ぶ為に荷物を重くしたら、あかんやろー。ガハハ」

Kリーダー 「そうか・・・

   俺はせっかちやから止めとくわ。ハハ」

A指導員 「僕も、ちょっと・・・」

 

こうして階段用3輪キャリー2号を使用するのは「膝が悪い」俺だけになった。

 

 

◆メンテナンス治療:

 配送業務で「左膝の半月板を痛めた」のみならず、俺は全身筋肉痛になり「右肩の五十肩も再発」した。

それらのメンテナンスの為、俺は;

 

・2週間に1回、整形外科に行き、左膝に潤滑油としての「ヒアルロン酸」注射を受けている。(治療費1800円/2週)

・1週間に2回、鍼灸整骨院に行き、右肩の筋を伸ばす施術を受けている。(施術費2000円/2週)

 

配送の研修期間の報酬は、8000円/1日程度なのでお金は余り貯まらないが、ダイエットの効果はメキメキ出ている(苦笑)

 

 

◆地雷を踏んだ:

 26日3便(16時~18時)で、Aコーポの2階に荷物を配送した時、俺は地雷を踏んでしまった。

 

**配送の状況:

0. Aコーポ入口付近に軽バンを停車した。

1. 7個の荷物(ボックスx3 +ケースx7)だった。

 

2. 俺は2つのボックスを開き、中の保冷バッグから

レジ袋に入った食品を取り出して、手で持ちBさん宅迄2階へ駆け足で登った。

3. 呼び鈴を鳴らして1回目でBさん(女性、50代後半)の声で返事があったので「IOです」と告げた。

4. その後15秒位待っても返事が無いので、再度呼び鈴を押したが更に15秒位待ってもの返事がないので、俺はインターフォンに向い

 「置き配にした方がいいですか?」と問いかけた。

5. インターフォンからBさんの声で「置いたらダメと書いてあるでしょ!」と強い反応が来たので、

 俺は「書いてある」という言葉の意味が理解できないまま、

とりあえず「はい、了解しました」と回答し、荷物を持ったままずっとドアの外に立って待った。

6. 更に15秒以上経ってドアが開き、30才前後の男性Cさん(息子様?)が出てきて、「ご苦労様です」と温和に言われた。(この時Bさんは廊下の奥にいて、こちらのやり取りを見ていた)。

 俺から男性Cさんに荷物を渡し「残りがまだ1階にあるのでお待ち下さい」と告げ、1階入口の車に残りの荷物を取りに行った。

7. 車内に残っていた4個のケース(水2Lx6本)を1つづつ順番に持ち4往復して2階にあげ、都度男性Cさんに手渡しした。

 (この時男性Cさんは「ご苦労様です」と終始穏やかだったので、まさかBさんがクレームしたいとは思いもしなかった)

8. 最後の荷物渡した後、車に戻った。

9. 26日朝一に班長から「Bさんからクレームが来ている」事を指摘された。

 クレームの主旨は;

 1) 配送員はボックスの保冷バッグから食材を出して玄関へ持ってきた。

2) 自分(Bさん)は「素早く対応したにもかかわらず」、配送員が冷蔵や冷凍の食材をドアの前に「置きっぱなし」にした。

3) 長時間「置きっぱなし」にされた食材が溶けて変質していた。

4) 「置きっぱなし」にされた荷物は7つ全部だった。

10. 俺は班長に説明した。

クレームの内容は1)については俺が「保冷バックから出して持って行った事は事実」で、申し訳ありません。

それ以外の2)~4)については「事実では無く、感情的に思い込んでしまっているようだ」と説明した。

11. その後、班長から「保冷バックから出して持って行ってはダメだ。例え短い距離でも今回のように疑われたら証明できない」という事について細かく指摘を頂き、俺からお詫びした。

  しかし、俺から「事実と違う部分があります」との説明については、班長は特に興味を持ってもらえなかったように感じた。

 

**問題点:

4. 5. のタイミングで、俺は余りにBさんの反応が遅いので「置き配がいいのですか?」と質問しただけだが、

 Bさんは「以前のクレームを思い出したようで「置いたらダメと書いてあるでしょ」とキツイ言い方で反応してきた。

たったこれだけでクレームされるならば、配送業務を続ける自信が無くなったな、と心配して、当日夜にY社長に相談してみた。

 

→Y社長からの回答は、

「1年前に同じBさん宅へ配送したD配送員が荷物を玄関前に並べてしまい、強くクレームされた事例があった。

配送員が持つデジタル端末には過去のクレーム事例がデータとして記録されており配送員に共有できるようになっている。

しかしながら、このクレーム事例についてはデジタル端末導入前に発生したので、デジタル端末に記録されていなかった。も

それに、あそこの息子Cさんは引きこもりのようで、Bさんは1年前のクレームの際にヒステリックになっていた」

という裏事情が判明した。

 

 つまり今回の問題が「深刻なクレーム」に迄発展した本当の理由は、

「Bさんは1年前のクレームも含め怒っているが、俺は以前のクレームの存在を知らないで、普段通り対応している」意識のズレだと思われる。

今後は「地雷」を踏まないように気を付けようと思った。

 

その後、別の場所でKリーダーからも

「所詮、我々の仕事は接客業なんやから、お客様を怒らせたら負けやでー。

  気を付けてな」

とアドバイスされた。

 

**結論:

27日にY社長は菓子折りを持ってBさん宅を訪問し、平謝りに謝って「Bさんのガス抜き」をしてくれたそうだ。

 

 

「接客業」でありながら、「10kgの荷物を6,7個」運んで「時給1000円程度」やなんて

めっちゃブラックやでー。

 

まあ、筋トレ&ダイエットの著しい効果があるから、俺には十分魅力的だが(笑)