コケにはセン類(スギゴケなど) タイ類(ゼニゴケなど) ツノゴケ類という3つのグループがあります。

その中で、園芸に利用されるのはセン類です。セン類は体の小さいコケの中でも、大きく見栄えがよく比較的、乾燥に強いことから園芸に利用されています。

コケにはいろいろな性質があるため、普通の園芸植物とは異なった育て方が必要です。




①コケの体には、根がなく水分や養分は体の表面から吸収します。
②仮根があるが、体を物に付着させる役目をするだけである。
③体の作りは簡単で、水分や養分を運ぶ構造や、水分の蒸発を防ぐクチクラはありません。
◉クチクラとは=植物の表皮にあるロウまたは脂肪酸(脂肪を酸またはアルカリで分解して得たものの主要な1つ)の分泌物。
水分の蒸散や外部からの侵入物質を防ぐ働きがある。

④葉は乾くと縮んで巻いたり、茎に接するように折り畳んだりする。
⑤コケは普通、たくさんの個体が集まって生えていて、それが水分を保持するのに役立っています。


園芸で利用するものは、土の上に生えているものが多く、体のつくりを見ると、ギンゴケやオオスギゴケなど地面から直立するものと、ハイゴケのように地面を這うものに分けられます。

谷沿いで多くのコケが見られるのは、適度の日当たりと湿度が高いことによります。

コケの体の周りの空気中の水分を、上手に管理することが、コケを育てる上で大事な要素になります。

コケには根がないので、赤玉土や鹿沼土など、保水性と通気性の良い用土を使い、コケの体の周りの湿度を高く保つ必要があります。
また、コケには肥料は与えません。

ただ用土の上に置いただけでは、不安定になるので、体の小さなものは、黒土、大きなものは富士砂などで一部を覆い、コケの体を固定します。

苔玉などは、糸などでぐるぐる巻きにして固定してあげます。


コケはタネではなく、胞子で殖えます。しかし胞子はいつもあるとは限りません。
また、胞子から育てるのも難しいので、主に株分けで殖やします。

苔玉などで、コケが少ない場合やコケが少しずつ這って行くのを楽しめるなら、苔玉の上部に少しのコケを置いて、這わせることもできます。
参考までに写真を載せておきます。



写真は、ハクチョウゲ(白丁花)という植物です。

上部から少しずつ、下方にコケが這ってる状態です。
完全に覆うのはしばらくかかりますが、そんな楽しみ方も良いかと思います。



クチナシの苔玉、これはかなりコケも這ってきている状態です。このように、時間日数はかかりますが、根洗いなども自然にまかせる状態で這わせるので、また違った楽しみ方ができるかと思います。

根洗いについては、また改めて、書いてみたいと思います。