拾弐。 | Ken3her6days7she.Re:

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ケンサンハロクデナシ(新しい方)




桜並木が流れる。
うらうらとした午後、電車のシートに座って眺める。

満開だな。

別にどうでもいいけど。



部活帰りの娘と郊外の駅で待ち合わせ。


「相変わらずおしゃれって言うか・・」
「若いって言うか」

おお。
そっか?



お袋の葬式以来だ。
ぎこちないジャブの応酬も昼飯を食うまで。
こいつはやっぱり俺の娘だわ。
なんだこの『しっくり来る感』は?

「このブランドは、ここと横浜にしか無いの」

『麦藁の一味』試着。
諭吉が飛ぶ飛ぶ飛ぶ飛んで行く。
ま、父親らしいことを放棄してしまったから(じゃねえよ「放棄させられた」んだよ)仕方無いよな。
けど、
UFOキャッチャー(俺は天才)で取ってやった『くまプー』を一番喜ぶって・・


春の陽射しに「きらきら」光る肩までの髪。
俺の体を触った時に、元家内と同じ匂い。
DNAレベルなんだろな。解っていても、

くらくらした。

懐かしい匂い。



夜になって風が出て寒くなった。

送ってやるよ。
乗ってきな。
ガレージ開けるから家で待ってな。

娘がこの家に入るのはいつ以来?


「あー」
「なっつかしぃいー」
「この家の匂いだー」


玄関に並んだ彼女の靴を見て、


「あんたねぇ~」

あ。
うん。
彼女来るから・・


そのままキッチンへ(女ってすごいね)


「男の一人暮らしじゃないよね?」

(あわわわ・・)


帰りの車の中。


買い物くらい、いつでも付き合うぞ。

「バレるとさぁ」
「パパと会ってるって」

そうなのか。

「うん」
「それはそれ、これはこれだよねぇ」



そうなのか。
今だにそうなのか。
『俺』
『俺を連想させるもの』
拒絶反応。不機嫌になるそうだ。
別居して、離婚して、どんだけ経ってんだよ?
あなたが望んだことだろ?
全て望み通りになっただろ?
何をこだわることがある?


俺の方がいい場所に居るんだな。



娘に感謝しなきゃな。
今日。
またひとつ、
抜けた。と言うか、
判った。と言うか。
「何が?」と聞かれると判らないけど。
傲慢な言い方だけど、
俺はもう、許しちゃってるんだな。
『折り合いを付けた』のか。