誕生日だが通院日。
先生、興が乗ったのか、いつもより長話。
あと5人、患者さん待ってますよ?
「Kenさん。ストレスが人間の身体に与える影響って相当なものなんだよ」
「頑張る。てことはもう、その時点で限界を超えてるから、頑張らないと達成出来ない。ってことなんだよ」
「頑張っちゃ、だめだよ」
「一度記憶を失くすくらい酒飲んでみれば?」
「二日酔いに苦しむくらい」
「人間はね。そうやって記憶を薄めて行くんだよ」
「隠れてでも、泣きたい時は泣くんだよ」
俺、そんなにお袋のこと好きじゃなかったんですけど。
「それはね」
「意識してるってことだよ」
ふむ。
なるほどね。
元家内のことを、何とも思わない様に。
何の感情も持たなくなった様に。
それに比べりゃ楽なはずだ。
外は真っ暗だ。
長いこと都内で暮らして来た俺に、茨城の夜は暗い。
窓の外に「ぬらり」と光る嘘紫。
モスの喫煙スペースでiPhone耳に『AC/DC』
彼女を待っている。
ずっと彼女を待っている。
さっきから待っている。
早よ来いやぁ~
ノリノリだぜぃ。
男は、
俺は、
やっぱり、
ヘビメタだろ。

