自動車業界 劇的な変化の前触れ

 


EVへ向けて業界激変

 

自動運転システムや充電ステーションなど、
インフラも含めた総合力で勝負

 


日産が系列の主力部品メーカーであるカルソニックカンセイを
ファンドに売却すると発表した。

 

日産は今年10月、約2400億円を投じて燃費不正問題で
経営危機に陥った三菱自動車を傘下に収めた。

 

カルソニックカンセイのファンドへの売却代金は約1900億円だから、
数字の上では、株式売却の目的は三菱自動車の取得費用捻出
ということになる。

 

三菱自動車の取得はひとつのきっかけにはなったかもしれないが、
株式の売却にはもっと本質的な理由がありそう。

 

それは電気自動車(EV)への本格投資と言われている。

 

日産はもともとEVに積極的なメーカーだし、
傘下に収めた三菱自動車もEVが得意だ。

 

しかも、全世界的に次世代のエコカーの中心は
EVになるという流れがほぼ確立しつつある。

 

この現実は、これまでEVに対して消極的だったトヨタが方針転換を行い、
EVの量産化に舵を切ったことからも伺い知ることができる。

 

これまで自動車業界は、完成車のメーカーが系列として
部品メーカーを囲い込む構造になっていた。

 

内燃機関は技術的な難易度が高く、優秀な技術を持つ部品メーカーは
完成車メーカーにとって非常に重要な経営資源だったからだ。

 

ところがEVは構造が簡単で異業種からでも容易に参入できる。

 

EV時代においては、自動運転システムや充電ステーションなど、
インフラも含めた総合力で勝負しないと完成車メーカーは生き残れない。

 

したがって、部品メーカーを囲い込んでおく必要性は
薄れてきた。

 

  もし自動車業界でEV化が一気に進めば、これまでに
経験したことのない規模で業界再編が起こる可能性がある。

 

今回の日産の決断は、自動車産業における劇的な変化の
前触れなのかもしれない。