乳がん患者の味方 乳腺内視鏡手術
脇の下と乳輪から内視鏡を挿入
乳房にキズをつけない乳がん手術
内視鏡を用いた乳がんの手術は、
乳房にできるだけ傷を残さないことを目的に開発された術式。
脇の下と乳輪にメスを入れ、そこから内視鏡を挿入し、
色素で印をつけた腫瘍部位を内視鏡下で確認、切除するもの。
腫瘍の部位によっては、脇の下のみ、乳輪周囲と脇の下にメスを入れる場合もある。
どちらの場合も、傷跡はほとんど目立たない
1995年に米国の研究者が発表した論文をヒントに、国内のいくつかの医療機関が、
それぞれ独自に内視鏡を用いた乳がん手術を試み始めたのがはじまり。
日本以外では、内視鏡を用いた乳がん手術は一部でしか行われておらず、
日本で生まれ日本で育った術式ともいえる。
「乳房が残せるのであれば、極力きれいな状態で残したいという思いで始めた」と、
世界に先駆けて内視鏡を用いた乳がんの手術を始めた経緯を語るのは、
大阪大学医学部付属病院 病院教授の玉木康博氏。
1997年、内視鏡を用いた乳がん手術を手がける医師達は、玉木氏を世話人代表として
「乳腺内視鏡手術研究会」を発足。
同研究会の努力もあり、内視鏡を用いた乳がん手術は、
2002年4月には保険診療としての認可を受けている。
現在では、各世話人の所属している医療機関以外でも内視鏡乳がん手術を行う
医療機関は増加してきているようだと玉木氏は分析している。
内視鏡を用いて乳房全摘、再建も可能
玉木氏が所属する大阪大学では、内視鏡を用いた乳がん手術は、
乳房の温存や再建を行う予定の患者を対象として行っている。
また、腫瘍の大きさが5cm程度でも、
術前化学療法により腫瘍が3cm程度まで小さくなれば手術の対象に入るという。
内視鏡を用いた手術では、乳房の全摘すら可能だ。
「非浸潤で、しかも広い範囲に広がった乳がんなどでは、
内視鏡を用いて乳腺を全摘する場合もある」と玉木氏。
乳腺を全摘する場合でも、内視鏡手術であれば乳房には小さい傷しか残らない。
乳房再建を組み合わせれば、乳房の皮膚の傷を最小にして、中身だけを入れ替えられる訳だ。
普及を阻むのは?
傷が小さく目立たない内視鏡による乳がん手術。
保険診療として認められ、症例数が増えてきているものの、その数はまだまだ少ない。
現在、年間4万人程度が新たに乳がんと診断され、
その多くが手術を受けていることを考えると、かなりマイナーな術式ともいえる。
内視鏡乳がん手術が普及しない理由の1つとして玉木氏は、
「(通常の術式に比べて)手間もコストもかかるが、保険で優遇されていないため、
やるだけ損と考える医療機関が多い」と指摘する。
内視鏡を用いる場合、特殊な医療装置が必要になるにも関わらず、
内視鏡を用いた場合でも、従来型の乳房温存手術と同額の保険点数となっているためだ。
もう1つの理由として、「メスを入れる場所を気にしない医師がまだ多い」と玉木氏。
「きれいかどうかは論文などで評価しづらいもの」と整容性の客観的評価の難しさを苦笑する。
乳房再建の時代だからこそ、傷口の目立たない手術
傷口が目立たないのが内視鏡を用いた乳がん手術の特長だが、
乳房内で切除する範囲・大きさは腫瘍の大きさに依存するため、
内視鏡を用いる場合も、従来型の手術を受ける場合と同じだ。
そのため、再建しなければ、乳房にへこみが残る場合もあると玉木氏。
内視鏡乳がん手術は、それだけでは決して完璧な手術ではない訳だ。
「乳がんは、(乳房を)『とる』時代から、『残す』時代を経て、
次は『作る』時代に入ってきている」と玉木氏は力を込める。
左右のバランスが良く、自然な乳房を、再建で取り戻そうと考える場合、
乳房に傷を残さない手術の意味は、患者にとって大きいのではないだろうか。
親戚の叔母が乳がんで亡くなった
とても 乳がん患者の方達は他人事とは思えない
乳がん手術は日々進化している
手術の選択肢も増えている
ただ 先生による違いが大きいのもこの病気の特徴
ぜひ 患者のみなさんには 良い先生に巡り会ってもらいたいものだ