原子力に反対する100個の十分な理由(原文) ①


原子力に反対する100個の十分な理由(原文)
~100 gute Gründe gegen Atomkraft~



自然エネルギーのみを供給するドイツのシェーナウ電力会社
(シュバルツバルト)がこのほど、「原子力に反対する100個の十分な理由」の
日本語版をまとめた。


最終処分場や電気料金などドイツの具体例もあり、日本に当てはめて考えることもできる。


文末には「地震の危険性」「故郷の喪失」など、福島第一原発の事故について
参照できる項目が列記してある。


スラーデクさんは「福島での悲しいできごとが、少なくとも日本の脱原発につながればと願う。
高い犠牲を払って得た教訓だ」と話し、多くの人に読んでほしいとしている


An initiative of Elektrizitätswerke Schönau
www.ews-schoenau.de
www.100-gute-gruende.de



#1~#11
燃料とウラン採掘


#12~#19+#102
安全基準と健康被害


#20~#41+#103~#107
事故と大災害のリスク


#42~#65+#108~#113
核廃棄物と処分


#66~#71+#114
気候保護と電力供給


#72~#79
権力と利権


#80~#87+#115
自由と民主主義


#88~#93+#116
戦争と平和


#94~#100
エネルギー革命と未来


そして#101
あなたの意見は正しい!



日本の読者の方々に


福島の原子力発電事故は、私たちにこの冊子を日本語に翻訳することを思い立たせました。


ここに記した数多くの数値やデータは、ドイツの原子力発電所に関するものですが、事実は
世界中どこでも同じです――


原子力エネルギーは危険であり、非民主的で、高額で、不要なものです。


この小さな冊子が日本において、原子力に反対する市民運動に尐しでも力を
与え、支持するものであれば幸いです。


日本にお住まいの方で、地震に、津波に、そして原子力災害で悲惨な目に遭われたすべて
の方々に、私たちから心からのお見舞いを申し上げます。


自然災害による脅威は、この先も私たち人間が完全に管理することはできないでしょうが、
日本において原子力は私たち人間で終りにすることができます――


この道を進まれ、幸運を心から願っています!

みなさまのことを心から想って、


ウアズラ・スラーデク(Ursula Sladek)
EWS シェーナウ電力会社代表



#1~#11
燃料とウラン採掘



#1 依存


すべてのウランは輸入されなければならない。


ヨーロッパ全土では、チェコとルーマニアの鉱山においてのみ、尐量のウラン産出が行わ
れている。


ドイツでは1991 年以降、実質的にウランは産出されておらず、
フランスでは2001 年から産出はない。


原子力による電力は、「自国産」のエネルギー源ではない。

原発は資源の輸入と多国籍コンツェルンへの依存度をますます強める――


世界のウラン産出の3 分の2 は、4 つの巨大鉱業会社の手中にある。



#2 強制移住


ウラン産出は数多くの人びとの生活基盤を破壊する。


世界のウラン資源の約70%は、いずれかの住民コミュニティがすでに居住しているエリア
に存在する。


ウラン産出は農村を破壊し、牧草地や田畑を奪い、周辺の水源を汚染する。


ニジェール政府だけでも、2008 年に外国の投資機関に対して、広大な北部の土地にお
ける122 のウラン産出の採掘権を与えた――

ここに住むトゥアレグ人のことなど考慮なしに。


数多くのウラン産出地域においては同じように、土地の強制徴収と移住を人びとに強要する。

1996 年1 月26 日にインドのチャティコチャ村での事件のように――


警察支援の下、採掘を担当する企業のブルドーザーは、さらなるウラン採掘場所を
確保するため、事前警告なしで家屋や納屋、田畑を押しつぶした。



#3 水の浪費


ウラン採掘は貴重な飲料水を奪う。

鉱石からウランを取り出すために大量の水が必要とされる。


しかし多くのウラン採掘地域で水は不足している。

ナミビアの水道会社「NamWater」が先だって試算したところ、ナミビアで計画されている


ウラン鉱山が稼働すると、年間5,400 万㎥の水が不足することになり――

それはオマルル・オムデルのデルタ地帯全体で取水できる量の11 倍にもなる。


鉱山およびウラン精製施設における莫大な水需要は、現地の住民・家畜・農業との
間で水の奪い合いを発生させる。



#4 放射能の汚泥湖


ウラン鉱山業からの強毒性の汚泥は、住民と環境を脅かす。


ウラン含有量が0.2%の場合、ウラン鉱石1 トンごとに998kg の毒性汚泥があとに残され、
窪地や人造湖に溜められる。


このいわゆる「選鉱くず」には、ウラン鉱石の85%にあたる放射線と、

ヒ素など多数の強毒性物質が含まれる


選鉱くずからの放射性物質は数千年以上にわたって大気と地下水を汚染し、
堰の決壊や地滑りは破局的な被害を引き起こす


モアブ(ユタ州/USA)のアトラス鉱山における汚泥貯蔵湖からは、十数年にわたって毒
性・放射性のある物質が地下水と1,800 万人に飲料水を供給する近くのコロラド川へと漏
れ出している。


カザフスタンでは乾燥した選鉱くずからの放射性物質が、15 万人が住む
アクタウ市を脅かしている。


また国連の見解によると、キルギスの狭い谷間にある無数の放射性汚泥の廃棄所は
「国際的な大災害を引き起こす可能性」があるとされている。



#5 鉱山による癌


ウラン鉱山業は癌を引き起こす。


ウラン坑とその廃棄物の埋立場からの放射性・毒性物質は、そこでの従業員と周辺住民
を病気にし、癌の発症率を上昇させる。


旧東ドイツのヴィスムート・ウラン鉱山では、約1 万人の元作業員が放射線被害による肺
ガンを発症した。


キルギスのウラン鉱山町マイルースー市の住民においては、同国の他地域に比べ2倍の
頻度で癌が発症している。


1955 年から1995 年にかけてグランツ村(ニューメキシコ州/USA)のウラン鉱山で
働いていた労働者には、これらと同じように癌発症率と死亡率が高いことが
研究によって証明されている。


ウラン鉱山産業における重大な健康被害の数々は、ニューメキシコ州のナバジョで、
ポルトガルで、ナイジェリアで、そして他の数多くのウラン鉱山地域で明らかになっている。



#6 死の大地


ウラン採掘は死の大地を生み出す。


ウラン鉱石のほとんどは、およそ0.1%から1%のウランしか含有しないし、

ときには0.01%しか含まないものもある。


1 トンの天然ウランのためには100 トンから1 万トンの鉱石が必要となる。


それら鉱石は、採掘し、その後加工されねばならず、最終的に毒性を帯びた汚泥として
数万年もの間、安全に保管されなければならない。


さらに、ウラン含有量が尐ないため加工、精製すらされない土砂も数百万トン単位で発生
する。


ウラン鉱石の何倍にもなるこれらの大量に採掘された土砂は、

やはり同じように放射線を発する。


アメリカの元大統領ニクソンは、広範囲、および長年にわたる汚染のために、ウラン採掘跡地を
1972 年に国の犠牲地域、いわゆる「National Sacrifice Areas」に指定した。



#7 高価な汚泥


ウラン採掘跡地の汚染処理には数億ユーロの費用を必要とする――
そもそも、それが可能であればの話だが。


ウラン鉱山業は莫大な汚染を残す――毒性・放射性の汚泥でいっぱいの湖沼、放射線を
発する瓦礫による山々。


数千年以上にもわたりそれらは、地下水・飲料水をおびやかし、大気を汚染し、
健康被害を与え続ける。


鉱山業を営む巨大コンツェルンは、ウラン採掘によって巨利を得る。


しかし、安全対策や汚染地域復旧などの処置のため発生する事後コストは、
その大部分を市民が賄わなければならない。


アメリカでは、たった1 つのウラン鉱山における、たった1 つの汚泥貯蔵地の汚染を処理
するために、10 億ドルもの税金が投入された。


旧東ドイツのウラン鉱山跡の処理には65億ユーロもの費用が発生した――

コスト抑制のために旧東ドイツの厳格でない放射線防護基準に従ったにもかかわらず。


ウランが採掘される多くの国々では、そもそも、そのような復旧費用を捻出することは
不可能であり、汚染の処理は行われない。



#8 ウランの欠乏


ウラン鉱山はすでに20 年来、原子力発電所の需要を満たせていない。


1985 年以降毎年、原子力発電所ではウラン鉱山が採掘するよりも明らかに多くのウラン
を消費している。


2006 年において、世界中のウラン鉱山を合わせても、原発が必要とするウランの3 分の2 の
量しか産出していない。


原子力発電所の運営者は、これまでこの燃料不足分を、民間および軍事部門の
在庫を取り崩すことでまかなってきた。

しかしこれも尽きようとしている。


すでに存在する原子力発電所の燃料供給を確保するだけでも、ウラン産出量を数年の
うちに50%以上増加させなければならない。


そのためには無数の新規ウラン鉱山の営業を開始させる必要がある――
人間と環境に多大な被害をもたらしながら。



#9 埋蔵量の限界


ウラン埋蔵量は、わずか数十年のうちに枯渇する。

埋蔵量が豊富で採掘しやすい場所のウラン鉱床は、世界中でもうすぐ枯渇する。


同量のウランを得るためには、今後、掘り返さなければならない土砂・

岩石の量は増えるばかりだ。


そのためコストはかさみ、環境被害も急増する。


すでに知られている全てのウラン鉱山を採掘したとしても、現状の約440 基の原子力発
電所の需要を、45~80 年しか満たすことができない。


さらに多くの原子力発電所が追加されたなら、ウランはより短い時間で枯渇する。



#10 ウランの輸送


六フッ化ウランが絡む事故は破局的な大惨事を招きかねない。


ドイツ、ヴェストファーレン地方のグローナウ市にあるウラン濃縮プラントは、
ウランを六フッ化ウラン(UF6)に加工する。


この非常に毒性・放射性の強い物質は、鉄道、トラック、そして船によって毎週のように
ヨーロッパを、大都市や人口密集地域の中も横切って自由に移動している。


事故や火災によって輸送容器は破裂する可能性があるが、そのときは放射線を発する中
身が周囲に拡散し、地域は汚染される。


そして六フッ化ウランは空気中の水分と反応し、毒性と刺激性の非常に

強いフッ化水素となり――周辺数km の範囲内は、人間と環境に致命的な危険がおよぶ。



#11 プルトニウムの輸送


核燃料棒の製造のために毎年何トンもの純粋な、兵器になりうるプルトニウムがヨーロッパ
の道路を走りまわっている。


多くの原子力発電所は二酸化ウランと二酸化プルトニウムの混合物であるMOX 燃料を
燃やしている。後者はほとんどの場合使用済み燃料の再処理からやって来る。


約7kg のプルトニウムで原子爆弾1 つの製造に十分であり、数マイクログラムを

吸い込むと癌を確実に発生させる。


フランスとベルギーのMOX 燃料製造工場には、年間数トンの純粋な酸化プルトニウム
が納品されている――高速道路上をトラック輸送によって。



#12~#19+#102
安全基準と健康被害



#12 癌の危険性


原子力発電所は子供だけを病気にするわけではない。
子供が住んでいる距離が原子力発電所に近ければ近いほど、癌になる危険性が高まる。


ドイツでは原子力発電所の5km 圏内に住む5 歳以下の子供は癌になる確率が、ドイツ全
土の平均値より60%高い。


なかでも白血病の発症率は倍以上(+120%)になる。白血病はとりわけ放射線によって
引き起こされやすい。


アメリカの調査データでは、核施設周辺の大人も癌になる確率が高いと推測されている。



#13 汚染物質の排出


原子力発電所は大気へ、水中へと放射性物質を排出している。


全ての原子力発電所は排気口と排水管を備えている――トリチウム、炭素、ストロンチウ
ム、ヨウ素、セシウム、プルトニウム、クリプトン、アルゴン、キセノンなどの放射性物質の排
出のためだ。


それらは大気中に分散し、水中、地中に留まる。さらに堆積し、濃縮され、生物に取り込まれ
、一部は細胞に組込まれる。


そこでそれらの放射性物質は、とりわけ癌を誘発し、遺伝子を傷つける。
この排気と排水による放射性物質の排出は政府によって公に認められている。


通常1000兆ベクレルの放射性の希ガスと炭素、50 兆ベクレルのトリチウム、300 億ベクレルの
放射性微粒子、約100 億ベクレルの放射性ヨウ素131 の排出が許可されている。


もちろん1 年間に、1 つの原子力発電所あたりの話である。



#14 欠陥ある安全基準


放射線防護の安全基準は放射線による被害を甘んじて受け入れている。


今日においてもなお核施設で容認される放射性物質の排出量は、架空の「標準値人間」
に基づいている。


彼はいつまでも若く、健康で男性であるのが特徴だ。彼より歳を取っている高齢者、
女性、子供、幼児、胎児は、ときには明らかに放射線に敏感に反応することなど
考慮されていない。


国内外の放射線防護の安全基準は、はじめから放射線による住民への健康被害を容認
している。


「原子力エネルギー拡大戦略のための理性的な余地」を確保するために。



#15 低線量の放射線


低線量の放射線被爆は、公的な想定よりも危険だ。
非常に低いレベルの低線量被爆であっても、健康被害は発生する。


これは様々な国の、様々な核施設の従業員に対する一連の調査結果がそれを示している。


これらの研究は、今なお広く信じられている低線量の被爆はごく僅かの影響、全くの無害、
あるいはそれどころかポジティブな効果すらあるという思い込みを覆している。


保守的であると評価されるアメリカの「National Academy of Science」でさえも近年では、
低線量被爆が有害であることを認めている。

原子力発電所周辺に居住する子供の癌の発生率が高いこともこれで説明できる。


#16 トリチウム


原子力発電所からの放射性廃棄物は、DNA にまで組み込まれる。

核施設は大量の放射性水素(トリチウム)を大気や水中に放出する。


人間、動植物は呼吸と食料、栄養を通してそれを摂取する。


身体はトリチウムとトリチウムを含む水を通常の水素や水と同様に、
すべての内臓器官に取り入れ、遺伝子にまで組み入れる。


そこで放たれる放射線は、病や遺伝子障害を引き起こす可能性がある。



#17 河川の高温化


原子力発電所からの温排水は魚から酸素を奪う。


原子力発電所はエネルギーを浪費している――原発はとりわけ(発電以上に)33℃までの
温排水によって、まずは河川を温める。これは魚に2重のダメージを与える。


まず1つ目に、温かい河川の水は、冷たい水に比べて酸素の含有量が尐ない。


2つ目に、温かい水ではより多くの植物や小動物、プランクトンが死滅し、
この有機物の腐敗の過程で酸素をさらに消費する。


そうして魚のための酸素が不足する。



#18 放射能の汚れ仕事


原子力発電所では何千人もの非正規労働者が汚れ仕事を処理している――多くの場合、
放射線防護の安全措置が十分でないまま。


彼らは派遣会社に登録され「火急」の際に駆り出される――何千人もの非正規労働者は原
子力発電所の最も放射線が強い区域で、清掃や汚染除去、修繕作業で給与を得ている。


ドイツ連邦環境省の1999 年の統計によると、彼ら非正規の労働者は、正規の従業員より
も数倍高い放射線被曝を受けている。


フランスでは彼らを「放射能の餌」と呼んでいる。


これら非正規の労働者たちは、破れていたり、埃が立つ放射性廃棄物入りの袋を担いだ
り、放射線を放つコンテナの横でコーヒー休憩を取らされたり、完全防護服を着用しないで
原子炉の中心付近での作業をさせらりたりしたことがあると報告している。


中にはあらかじめ線量計を外して作業している者もいる。

なぜなら最大被曝線量に達したら、そこでの職が終わってしまうからだ。


結局のところ、誰も職を失いたくはない。



#19 自己防衛


原子力発電所を運営する電力コンツェルンの上層部のエリートは、私生活において自身は
原発から大きく離されたところで生活している。


EnBW、E.ON、RWE、そしてVattenfall の役員たちは、職務上では原子力推進のため
に激しい戦いを続けている。


ただし、彼らは私生活ではできるだけ距離を取る――


ハンス=ペーター・フィリス、ユルゲン・グロースマン、トゥオモ・ハタカらは
自身の住居を自社の原子力発電所から遠く離れたところに選んでいる。



ボーナス #102 チェルノブイリ


チェルノブイリの原子炉事故は数え切れないほど多くの人びとの生活を破壊した。


チェルノブイリ原子力発電所(ウクライナ)での破局的な大災害の後、ソビエト連邦は約
80 万人の「リクビダートル」を災害警防と処理作業のために派遣した。


そのうちの90%以上が現在では傷病者である。原子炉事故から20 年経過した現在までに、
「リクビダートル」として派遣された父親が傷病で死亡したため、
1 万7 千のウクライナの遺族は国からの保護を受領している。


1990 年から2000 年の間に、白ロシアにおける癌発症率は40%上昇し、WHO はホメリ
地方だけでも5 万人の子供たちが生涯の間に甲状腺癌を患うであろうと予想している。


流産、早産、死産が事故の後、劇的に増加している。
原子炉付近に住んでいた35 万人の住民は、永久に自身の故郷から引き離された。


1,000km 離れたバイエルン州内でさえ、放射線障害を原因とした3 千件におよぶ奇形出
産が発生してる。


チェルノブイリ後、多くのヨーロッパの国々で幼児死亡率がおよそ5 千人分ほど増加している

遺伝子の損害などによる次世代への負担は、事故の数多くの他の影響と同じようにまっ
たく調査しきれていない。


確実に分かっていることは、1986 年の大事故は、まだまだ終わっていないということだけだ。



#20~#41+#103~#107
事故と大災害のリスク



#20 安全性の欠陥


ドイツにある17 基の原子力発電所のうち1 つとして、今日では営業許可を得られない。


防護壁能力の不足、貧弱な電気回路、老朽化した鋼鉄――本来、連邦憲法裁判所が判決
で要求している安全の水準、つまり学問上、技術上においてその時代毎に妥当だと考えら
れる安全基準を満たしている原子力発電所は、今のドイツには1 つもない。


数百万ユーロもの高額な追加安全装備も話にならない。


明白な安全性の欠陥により、ドイツの17 基の原子力発電所はすべて、再度、新設として
の許可を得ることはできない。



#21 老朽化のリスク


原子力発電所を使えば使うほど、事故の危険性は増大する。


機械や電気部品の耐久性は永遠ではない。とりわけ原子力発電所においては著しく老朽
化する。


配管は脆くなり、制御装置は故障し、バルブやポンプは動作しなくなる。亀裂は広
がり、金属は腐食する。


デービス・ベッセ原子力発電所(オハイオ州/USA)では、16cm の
厚さの鋼鉄で作られた原子炉圧力容器を貫いて、誰も気づかないまま穴が開いた。


内側に取り付けられた薄いステンレス層が漏水を防ぐのみであった。

原子力発電所を長く使えば使うほど、そして古くなればなるほど、事故のリスクは増大する。


それは報告義務のある事故・故障の届け出の統計からも読み取ることができる――


ドイツの原発、ビブリスやブルンスビュッテルのような古い原子炉では、
新しいものよりも明らかに頻繁に事故・故障が発生している。



#22 報告義務ある事故・故障


3日に1 度はドイツの原子力発電所のどこかで、「安全性にかかわる」
事故・故障が発生している。


ドイツ連邦放射線防護局にある事故・故障の報告窓口には、ドイツの原子力発電所の安
全性にかかわる重大な事故・故障の報告が、毎年100~200 件届けられている――


1965年から合計するとその数約6,000 件。毎年、これらの届出のうち、重大災害に
発展する可能性を持った事故・故障が数件含まれている。

これまでドイツで破滅的な大災害が発生しなかったのは、
単に偶然と幸運が重なったからである。


#23 スペア不足

原子力発電所での修理作業においては、簡単に新たなミスが発生する。


現在稼働中のドイツの原子力発電所は1974 年から1989 年の間に営業運転をはじめて
いる。多くの修理部品は今では製造されていない。


それゆえ、修理時には代替部品を作らなければならない。


これはリスクの多大な作業であり、なぜなら、もし製造したスペア部品が

何らかの理由でオリジナルの部品と全く同様に
作用しない場合は、重大な結末をもたらす可能性があるからだ。