万能iPS細胞で薄毛治療



iPS細胞薄毛治療の可能性=毛髪組織を部分再生-慶応大



 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用い、毛髪を作り出す組織「毛包」を
部分的に再生させることに成功したと、大山学慶応大専任講師らの研究チームが
発表した。


チームは「脱毛症の治療や、育毛剤開発につながる可能性がある」としている。
 研究チームはまずヒトのiPS細胞を、皮膚になる手前の細胞に変化させた。


さらに、皮膚細胞に毛包を作るよう働き掛ける「毛乳頭」の代わりに、
同様の力を持つ若いマウスの皮膚細胞を皮膚になる前の細胞に混合。


マウスに移植したところ、マウスとヒトの細胞が混ざった毛包の組織と毛髪ができた。


ヒトiPS細胞から毛乳頭を作ることができれば、今回の方法を応用して完全なヒトの毛包を
再生させることが可能になると期待できるという。


薄毛に関する商品やサービスの国内市場は年間約2000億円規模で、世界でも有数

日本では、多数派と違う自分の身体的特徴を個性ととらえず、
隠したり手術でみんなにそろえたりしようとする傾向が強い。


フランスも日本に似ているという。



毛が育つ仕組み


 皮膚に埋まった毛の根元には「毛乳頭」がある。
ここに血液で運ばれたホルモンなどが働くと、毛は育ち始める。


成長を促す物質が分泌され、毛乳頭の周りにある細胞が分裂していく。

 この成長過程が阻害されると、薄毛になる。


 たとえば成人男性に多い男性型脱毛症。

男性の精巣からは、男性ホルモンの一種「テストステロン」が分泌され、
筋肉や骨格の発達を促す。


ところがテストステロンが余ると、酵素が作用して「ジヒドロテストステロン」に変わる。


これが毛乳頭にくっつくと、2~6年あるはずの毛の成長期が、
数か月~1年程度に短縮してしまう。


十分に役目を果たさずに毛穴は寿命を迎え、髪が薄くなる。



男性型脱毛症に対しては、ジヒドロテストステロン生産を抑える飲み薬がある。
それ以外の薄毛に対しても、毛の細胞増殖を促す塗り薬や植毛などの対応策がある。


注目されているのが、自分の体から取り出した細胞で増毛を図る再生医療としての育毛

 東京理科大学の辻孝教授らは、「原基」という細胞の集まりに着目した。


原基は、これからどのような臓器や器官になっていくかがすでに定まっている細胞集団だ。


辻さんらは、マウスの胎児の体表から毛の原基を取り出し、「上皮」と
「間葉かんよう」の2種類の細胞に分けた。


そのように分けたほうが、このさき細胞を大量に増やす際、
培養が効率的になるからだ。


そしてこの2種類の細胞を、狙った向きに毛が生えるように並べ替え、
生えた毛を、一緒に育った周囲の皮膚ごと大人のマウスの背中へ移植することに成功した。


 大人のマウスや人間から原基を取り出して増やす研究を進めている。