新膀胱にして思うこと | 膀胱癌闘病|けんざぶのブログ

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46歳で膀胱癌を発症し、化学療法2クール施行後、膀胱全摘術(尿路変更は新膀胱/代用膀胱)をおこないました。闘病ブログです。同じような立場の方に参考にしていただければ幸いです。

(2023年5月14日の日記)
新膀胱後に自排尿困難な人はポツポツいるらしい
探した論文にはそのことはあまり書いてなかった。
尿路変更の選択に際しては多くの先生に、若いから新膀胱だねって感じで言われた。
いろいろ新膀胱とストマのメリットデメリットについて調べたが、症例数の多い欧米では一時期は新膀胱がグッと増えたが今は新膀胱は減ってストマが増えているらしい。
やはり新膀胱のリスクという点が懸念されているらしい。
リスクを全部知った上で決めたかったが何せ膀胱癌で新膀胱を作る症例自体少ないし、参考になるような資料も少ないので難しい。
兄からは新膀胱した人が20年経っても元気で働いてるよという話しを聞いていたり、主治医の先生もそのようなことを言っていた。
もちろん、回腸導管の人も20年経っても元気でいる人も多くいるそうだ。

ただ、サードオピニオンで相談に行った大学の教授は、2件同じように新膀胱の手術をしたのに、かたや自排尿で問題なく生活している人もいれば、もう一方で残尿が多く、自己導尿をずっとしないといけない人もいて、QOLがかなり悪い例もあるとの話だった。
何故かは原因はわからないということ。

また、TURBTをおこなってくれた主治医の先生は、新膀胱は手術操作も多くなりその分合併症のリスクが高くなるので希望があれば良いが、積極的にはおすすめしないというスタンスだった。
要するに新膀胱はリスクをとってリターンを取りに行く手術ってことだなと漠然とイメージ。

論文を読むと結局新膀胱も回腸導管も、きちんと納得して行ったら満足度は変わらないらしい。
新膀胱派の先生の調査では新膀胱の方がQOL・満足度は高いという報告もあった。
結局、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で希望のものを選べば良いとのことか。

排尿困難や尿道狭窄を心配していたが、主治医の先生はいつも大丈夫と言っていた。
今となっては大丈夫ではなかったが。
ただ、大丈夫と断言してくれたので安心して新膀胱を選ぶことができた。
多くの人で問題なく排尿できていて、立って普通におしっこもできる人もいるという話だった。
(まぁ、確かに立ってはできるが体感で2割くらいしか出ない感じ)
「多くの人」に入れば良いがそうでない場合は。。。
主治医の先生は100例以上の症例があるそうだが、排尿困難の人の経験はあまりないようだ。
なので、自分はレアケースのよう。
括約筋が緊張していて出にくいのではと。
最終手段としては、括約筋を切開するしかないそう。
ただ、その場合は後戻りできない。
一生尿漏れと戦わなければいけない。

若い人ほどおしっこが出にくい傾向がありそうだ。
逆に年齢がいくほど、尿漏れのリスクが増える。
自分はおしっこが出にくい少数派になってしまったようだ。
自己導尿をしながら、排尿困難と闘っていくしかない。
手術前は、自己導尿で苦労している方のブログを拝見したりすることもあったし、自己導尿生活は絶対避けたいと思っていた。
が、どうも悪い方向に転んでしまったらしい。
ただ、
自分は皮膚が荒れたり蕁麻疹とかなりやすいタイプ。
ストマをつけ続けると長い目で見て皮膚トラブルで悩まされる続けていたのではないかと思うので後悔はない。

新膀胱にしてみて。
現在3か月時点で排尿困難で夜は自己導尿生活。
尿が出にくいのは、圧がかかりにくい位置に膀胱があったり、解剖的な形や周りの構造などで腹圧が伝わりにくくて出にくいのだと思う。
あとは最初、導尿困難だったように尿道が屈曲しているし、括約筋が緊張していて、出口が狭いのもあるのかもしれない。
術後は骨盤底のドレナージがほとんどできていなかったのでそれも原因としてあるかのかな?
色々な考えは巡るが、結局のところ本当のところははっきりしない。

もうどうしようもないので出にくいなりに出すように頑張らないと。
今は基本的には3時間ごとにトイレに行って排尿している。
1回あたり150〜300ccくらい。
夜は約3時間毎にタイマーを2つかけておいて目覚めてトイレに行く。
朝方は、空腹で、腸の動きが悪いせいなのか出にくい傾向がある。
いきみを頑張りすぎても目がどんどん冴えてしまうのでカテーテルで導尿するようにしている。
少しでもいきみによる体の負担(痔や鼠蹊ヘルニア)を減らすためにも導尿している。

日中は背中が痛くなったりしたり、3時間経過したらトイレに行く。
3時間以上はあまり時間を伸ばさないようにしている。

毎日いきみとの戦い。
会陰や肛門は痛むし、太ももの静脈は浮き出てくるし大丈夫かなと思う生活。
ただ、少しずつでも排尿のパターンを掴んで、アレンジして負担を少なく排尿できるように試行錯誤している。
半年、1年としたらもっとパターンが分かって生活に馴染んで慣れてくるのかもしれない。
仮にストマだったとしたら毎回の排尿が早くて楽だろうし、熟睡もできるだろう。
ただ、週に2回はバックの付け替えが必要で、長期的に見て自分の場合、皮膚の荒れはやっぱり出るだろうなぁ。
どちらの道に進んでもある程度支障はあるはす。
その時、その時で自分なりに調べて先生も信じてベストな判断をしてきたつもりだ。
なので、今の新膀胱の決断に後悔はない。
術前はストマなどの見た目は気にしていなかったが、実際新膀胱にすると袋がないのはかなり楽だ。
以前の生活と同様に自由に動き回れるのは想像していたよりかなりメリットとして大きかった。

子供も小さく後20年、30年以上は元気に生きたい。
年齢を経るごとにまた排尿事情も変わってくるだろう。
癌になったこと、膀胱をとったこと、新膀胱を作ったことはもう現実に起こっていることでたらればを言っても始まらないので現実に適応して少しでも長く元気でいたいと思う。

まだ3か月。
夜は自己導尿をおこなっていて日中の排尿に四苦八苦している自分の経験が、今後膀胱癌の尿路変更に悩む人に新膀胱の一例として参考になれば幸いです。