喜光寺の正面には南大門がある。平城遷都1200年にあたる2010年に再建され、
高さ12mの楼門の二層目には、「いろは写経」が納められている。奈良の西の玄
関口にふさわしい威容をほこり、正面の扁額には「喜光寺」の文字が輝いている。
南大門をくぐる際には、仁王像が迎えてくれる。本堂は1533年再建されたも
のだが、重層の裳階を付けた美しい復古建築で、阿弥陀如来の来迎を彷彿させる
阿弥陀堂と言われ、東大寺大仏殿の参考にされたそうだ。左手には仏舎利殿があ
る。創建1300年の記念事業として、令和3年に建立された。堂内には「千佛供養
堂」が1080余室設けられ、永代供養されている。それ以外にも、喜光寺を開いた
行基菩薩を祀った行基堂や、弁天池の中に建つ弁天堂や、お写経道場等もある。
境内に歌人・会津八一が喜光寺を訪れて詠んだ哀歌の歌碑が立てられていた。
「ひとりきて かなしむてらの しろかべに
汽車のひびきの ゆきかえりつつ」
(06.29)