恋慕う
暮れし海に漂う
舟は夕凪の中 陰り
寄せて返す波の音
静寂に浮かぶ夕月夜
憂い宵に流れた
雫は花となり散りぬれど
どこへも消えぬ面影
忘れじ想いと消え詫ぶ
あなたに逢いたくて
あなたを恋慕う
遠き空に蝉時雨
秋来ぬと目には見えねども
長き夜に心は
ありあけ たちかはりやがて消ゆ
秋風にあう田の実吹かれる
雲の走りは独り見置いて
はればれし青天の訝し
逆う彩ふ秋桜
あなたに逢いたくて
あなたを恋慕う
千代に偲び 心燃ゆる
声高らかに百舌鳥は鳴く
涙枯れて 夢の直路
あなたに逢いたくて
あなたを恋慕う