夢の中
地元から20分の距離を急いでタクシーに乗り込み
東京駅からおそらく7時30分頃ののぞみに飛び乗った
世間はシルバーウィークということもあって
自分の中では混雑予想を予想していたが
意外に車内はガランとしている
喫煙車両16号車13番の窓際が今夜の指定席
持っていたお茶の残りで口寂しさを紛らわし
ほっとした気持ちでふと窓の外を覗くとそこには
ゆっくりと誰にも気付かれないように
意味無く豊かなこの国の中心が
東から欠けて行く
もちろん何事もなく斜め前の席には
缶ビールを楽しむサラリーマン風の男がいて
車掌は切符を確認し歩いて行く
また今日という日が終わろうとしている
何かの気配を感じ目を覚ました自分は
どの位眠っていたのだろう
新横浜から名古屋までの長い区間
自分はいつからか寝てしまっていた
辺りは暗く景色など何処にも見えない
ただ列車の走る音と遠くに見える明かりだけが
今自分が何処かに向かってひた走っていることを認識させていた
でもそれが何処から来て何処に向かっているのか
東か西かなのかさえ誰が乗っているのかも解らなかった
そんな気がした
その瞬間体を言い様のない不安が駆け巡り
自由という孤独に襲われた
このまま何処に行ってしまうんだろう
自分はいつこの列車に乗ったのだろう
まるで走る事を否定されたかのような気持ちは
鳴りっぱなしだったi-podを止め
見飽きた天井を見上げていた
何かを考えているようで考えていない時間がすぎ
車内販売のカートが遠くへ過ぎて行く
我に返る自分はまた
眠るためにゆっくり目を閉じた
今大阪行きの列車の中
確かな現実の中
今日もまた
音を求め集まる時の中