正義の女神の目隠し | 賢龍雅人のブログ ”No Tarot, No Life”

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タロットを始めとする西洋占術の魅力を、少しでもお伝え出来ればと思っております。

少し前になるのですが、私がタロットを教えているクラスで「なぜ正義の女神には、目隠しをしているものとしていないものがあるのか」という質問を受けました。

 

タロットカードの8番(または11番)の正義の女神は、ほとんどが目隠しをしていないものが多いです。

 

ですが司法に関わる場所や、書籍、ネット検索などでは、目隠しをした「正義の女神」も多く見受けられます。

 

目隠しはそもそも貧富や権力の有無にとらわれす、万人に等しく適用される「法の下の平等」を表しています。さらにさかのぼると、神話の世界では「クビド」や「運命の女神フォルトゥーナ」の目隠しは、神の分別のない愛のシンボルとされてきました。

(または、運命や愛は気まぐれなもの、という意図も)

 

クビドやフォルトゥーナも目隠しをしていないものもあるので、さほど深い意味はないのではと思っていたのですが、調べてみると神話や図像学の方面ではなく、社会的背景や司法の場から目隠しをする像が見られるようになってきたようです。

 

以下に私自身の備忘録的に、書いておきます。
(現在も調査過程ですので、、)


●テミスとは古代ギリシア語で「不変なる掟」の意味。「正義の女神」と同一視されることが多いが、近代・現代的な意味で「正義」とは異なっている。

 

●1494年のドイツ人作家セバスティアン・ブラントにより刊行された諷刺文学の「阿呆船」には、「目隠しをした正義の女神」の木版画による挿絵がある。これには判決を出すものが盲目で馬鹿者、といった嘲笑目的の戯画であった。その後、「阿呆船」は各言語に翻訳されて16世紀ヨーロッパにおけるベストセラーとなった。

 


Justitia was blindfolded (1494 Sebastian Brant)

 

●目隠しの寓意する意味はゲーテの時代には「人物の名声を顧慮しない公正さ」に転換しており、目隠しをした正義の女神像が製作されるようになったのは法の平等の理念が生じた16世紀頃以降で、19世紀頃より目隠しをした像が主になる。また目隠しを取った状態の、全体を見通して公正な判断を下す女神とされているケースもある。

 

Wikipedia「正義の女神」より
最終更新 2018年5月13日 (日) 12:18
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E7%BE%A9%E3%81%AE%E5%A5%B3%E7%A5%9E

 


パリのタロット (17 世紀前半)

 

 

参考文献

 

イメージ・シンボル事典/アト・ド・フリース (著)
図説 世界シンボル事典/ハンス・ビーダーマン (著)
ギリシア神話/呉茂一 (著)
ギリシア・ローマ神話辞典/高津春繁 (著)

 

 

下記より1部引用しております。

 

Wikipedia「テミス」
最終更新 2017年9月15日 (金) 02:06
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%9F%E3%82%B9

Wikipedia「正義の女神」
最終更新 2018年5月13日 (日) 12:18
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E7%BE%A9%E3%81%AE%E5%A5%B3%E7%A5%9E