今年、住んでいるマンションの管理組合の役員をしている。管理費を2年近く滞納している人がいて、理事会で対応している。一概には言えないのは前提として、滞納を続けると何が起こるのかを示してみる。管理組合は常識的な選択を続けているので、典型的なケースだと思われる。


1 管理会社から催促(これは後になっても実施、滞納者は電話に出なくなるのが普通らしいが、今回は電話には出る珍しいケース)
(この間、返済計画を出すが初回から守らない、滞納分とは別の毎月の管理費をさらに滞納 など神経を逆なでするような行為が繰り返される)
2 全額一括返済を要求する内容証明郵便の送付

(反応なし)
3 裁判の予告
(通常はここで調停が候補になるが、支払い意思がないので時間の無駄と判断し、いきなり裁判へ)
4 裁判、判決(事実関係には争う要素がないので、1日で判決まで出た)

一括で全額支払え と言う判決が出るが、払えるならこんなことにはならない。なので、裁判官を交えて話をして落としどころを見つけると言う作業をすることになり、大体の場合、「分割で毎月○円払う」というところに落ち着くようだ。

現在はここまで進んでおり、分割の返済が行われるかどうかを見ている状態である。これが遅延した場合は給与差し押さえを予告している。



多くのマンションでは管理規約で滞納をすると遅延損害金を追加して支払うとなっている。遅延損害金は年利14.6%となっているケースが多い。3に行くまでに分割でもいいので月々返済をすれば多くのケースでは遅延損害金まで請求しないと思う(組合側は1人が滞納したからと言って資金的に困るわけではないので、実害は出ていない。遅延損害金まで回収するインセンティブは特になく、問題を早く終わらせたいとなりがち)。
3になると否応なしに遅延損害金が加算※1され、弁護士費用と裁判費用が発生する。裁判費用はほぼ敗訴した側(=滞納者)の負担となる。弁護士費用は原告(=管理組合)持ちになるが、私が住んでいるマンションでは、過去にトラブルになった経験から規約に「弁護士費用など回収に要した費用を違約金として請求」と明記してあった。従って裁判でも弁護士費用(や内容証明郵便代)を乗せて請求しており、判決でも認められた。

なぜ裁判になるまで心証を悪くするような行為を続けたのかよく分からないのだが、弁護士費用と遅延損害金が上乗せされた結果、支払額は元の滞納金額の1.5倍くらいになっている。さらに分割で返済すると、支払いが遅れた分に金利が年5%かかってくるので、支払総額はさらに増える。

毎月数万円でも返済していれば滞納金額だけで終わっていたはずなのに、何がしたいのか意味が分からない。支払いが増えることを理解していなかったのかもしれない。

 

※1 弁護士は請求額を最大化しようとするため。今回のケースでは弁護士費用の請求が認められなかった場合に遅延損害金で弁護士費用をまかなうという意図もあった。