中村けんです
安城市文化センターで開催された、「まちのチカラ創造フォーラム」に参加しました
フォーラムでは、「地域の個性を活かしたまちづくり」をテーマに、基調講演とシンポジウムが行われました。
まず、基調講演では、(株)TMオフィスの代表取締役で、内閣官房「ふるさとづくり有識者会議」の委員でもある、殿村美樹氏が講師となり、「明日から実践!ズラして一発逆転」と題した講演が行われました
「ズラす」というところがポイントで、ターゲット、時、場所、名前をズラすことで、お客さんの方が自ら来てくれるという趣旨の内容でしたが、「ズラす」のニュアンスが分かりにくいと思いますので、講演の中で取り上げられた例(殿村氏の企画)を以下に記しておきます
彦根市の観光客誘致のため、ターゲットを「城好き」から「女性」にズラし、ひこにゃんをその呼び水にした。
漢字検定の受験者を増やすため、12月12日を漢字の日(いいじ・いちじ)とし、清水寺を舞台として、「今年の漢字」を発表。
香川県では、カリスマブロガーをターゲットにして、うどん県のPR戦略を練った。
サンマが大量に獲れるが、脂が少ないのが悩みであることを逆手に取り、ダイエットサンマとして売り出した。
畳産業が縮小していく中、新たに畳を敷くことではなく、既存の畳の張替えを主に、「畳ドクター」と銘打って畳産業の振興を図った。
続いて行われたシンポジウムでは、
新実南吉が青春を過ごした安城市
宮沢賢治生誕の地である岩手県花巻市
写真のまち北海道東川町
漫画家水木しげるの出身地である鳥取県境港市
アニメ「あの夏で待ってる」の舞台となった長野県小諸市
からそれぞれ代表の方が壇上に上がり、まちづくりについての考え方や、取り組んできた内容について、話を聞くことができました。
安城市では、JR安城駅の南に位置する地区の区画整理を機に、当時の4年後が新実南吉の生誕100年を迎えることもあり、市長が新実南吉をテーマにしたまちづくりを思い立ったところ、賛意を示す住民が多く、推進していくことにしたとのことでした。
ちなみに、新実南吉の代表作である「ごんぎつね」は、すべての小学校4年生の教科書に掲載されているそうです。
花巻市では、「来てくれ」ではなく、「行ってみたい」と思ってもらえるまちづくりをモットーに、商工会議所やJAなど、30ほどの団体が宮沢賢治というコンテンツを使ってまちづくりに励んでいるそうです。
東川町では、「写真の町」としてまちを売り出し、全国の高校生を対象にした「写真甲子園」というイベントが毎年行われています。
4日滞在するうちの1日は民泊してもらうことで、高校生と地元の人々との間で交流が持てたり、写真甲子園の出場者が翌年は自費でボランティアに来てくれたり、社会人になって移住してくれる人もいたりと、波及効果が大きいようです。
※東川町については、僕が所属する市議会の会派で10月に行政視察に行っていますので、そちらも参照していただければと思います。
http://ameblo.jp/ken-nakamura/entry-11655252695.html
境港市では、水木しげるロードを整備するにあたり、当初は市費で銅像をつくっていたり、地元商店街のみなさんの協力がなかなか得られなかったりと、大変苦労したそうです。
しかし、妖怪検定や、妖怪そっくりコンテストなど、イベントを矢継ぎ早に企画したり、NHKの朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」が放送されたこともあり、観光客数は右肩上がりに増え、テレビ小説の放送終了後の観光客数も下げ止まっています。
もっとも、全国有数の漁獲水揚げ量を誇るものの、さかなセンターの客数増にはあまり寄与しておらず、課題であるとのことでした。
小諸市では、アニメの舞台になったことで、「聖地巡礼」をする若者が増えてきたという状況になったものの、サブカル(オタクといった方が分かりやすいかも)の世界ということもあり、当初は地元のみなさんの関心自体があまりなかったそうです。
ただし、まちを訪れる人に若者が多いことで、まちづくりに携わる若い年代の人が増えたという副次的な効果が生まれているとのことです。
上記の5つの市町ついては、どのまちも、千客万来を求めているというよりも、ある程度ターゲットを絞った形、場合によってはニッチな領域をターゲットにしたまちづくりを進めているといえるのではないかと思います
合併後の西尾市には、まちづくりのテーマとなり得るネタは豊富にあります
抹茶でも、吉良さんでも、ちょっと「ズラした」まちづくりを進めていけば、まだまだ可能性は広がっていくのなと改めて感じました
そういう意味では、一部で提唱されている、抹茶漆喰(しっくい)の西尾城なんて面白いのではないかなと思います(笑)