昼顔 30 昼顔VS夕顔 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

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V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

30


朝顔は昼顔に凄まれて固まってしまった。


俺は立ち上がって、「俺だけど」と言った。


「あんたか」


昼顔はツカツカと俺の前まで来て、まるで品定めするように俺の全身に目を走らせた。


すると楓さんが慌てて俺たちの間に割って入った。


「ちょ、ちょっと准!なんなの?いきなり。夕顔くんに何の用事?」


「夕顔、く、ん?」


昼顔は片眉を上げて楓さんを見た。


「ゆ、夕顔くんは、その…ここのパン屋の人で」


「見りゃわかる」


「ビストロのパンを作ってくれてて…」


すると、朝顔が俺の後ろから、手を上げた。


「あ、作ってるのは僕です。夕顔じゃない方」


「そんなこたどうでもいい」


昼顔は俺に向き直ると、


「悪いが、ちょっと顔貸してくれないか」


と表の方に顎をしゃくった。


なんだ?この好戦的な態度は?ひょっとして、極度のシスコンか?売られた喧嘩は買うぞ、俺は。


「その前に名を名乗れよ」


「昼顔だ」


「あ、夕顔くん、あたしの弟。准って言うの。ちょっと准、やめてよ」


楓さんは昼顔の腕を引っ張ろうとしたが、昼顔はそれをさっと避けた。早い。喧嘩も強そうだな。


「楓には関係ない!俺はこの人に用事があるんだ!」


喧嘩に勝つには、相手より冷静になることだ。


俺はポケットに両手を突っ込んで顎を上げ、目を細めた。


「なんの用事?」


昼顔は俺を正面から見据えて言った。



「夕顔、あんた、藤野佳子さんを知ってるな?」



一瞬、なんと答えるべきかわからなかった。


「彼女があんたに会いたがってる」


朝顔は俺の影に隠れ、楓さんは不安げに俺たちの様子を見守っている。


「会う理由は、ないと思うけど」


「あんたの一番の太客だった人が会いたいって言ってんだ。理由はそれで充分だろ」


「俺はもうホストじゃない。向こうが会いたいって言っても俺が会わないこと、ババアが一番よく知ってるはずだけど?」


すると、昼顔は俺の腕をバッと掴んだ。


「俺は知らない。あんたがどう言おうと、会ってもらう」


強い力で掴まれ、昼顔の本気度が伝わった。


正直、楓さんの前でババアの話なんてしたくない。


「離せよ」


「イヤだ」


「楓さん…」


俺は楓さんの方を見た。


「弟くん、変わってないじゃん。今もすごくまっすぐな人なんじゃないの?」


楓さんは事態が飲み込めず、言葉を失っている。


昼顔は掴んでいた腕を離すと、いきなりその場に膝をついた。


「佳子さんは…っ…病院にいるんだ!早くしないと…もう…」


目には涙が浮かんでいた。


「いいから、来てくれ!頼む!」


昼顔の土下座を俺は呆然と見下ろしていた。


なにがなんだかわからなかった。


病院にいる?あのババアが?殺しても死ななそうなあのババアが…?


すると、楓さんが、そっと俺の腕に触れた。


「夕顔くん…行った方がいいと…思う」


楓さんは俺と目が合うと、神妙な顔をして頷いた。


「行ってあげて。…はやくっ!」