GUILTY 100 別れ | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?


岡田は家に帰って、駿作の親権が欲しいとはっきり和佳子と両親に伝えた。


自分の実の子ではないのにいいのか。男手ひとつで育児が大変ではないか。


両親はそんなふうにどちらかというと、岡田のことを気遣った。



岡田はしかし離婚が成立したら一緒になりたい人がいるのだと打ち明けた。


それが駿作の保育園の先生だと知って、和佳子は固まった。が、両親はほっとしたようだった。



「それなら、駿作のことは任せられます」



和佳子の父親は涙を浮かべて言った。



「正直和佳子はこんなだし、駿作も抱えて私たちやっていけるかどうか心配だったんです。駿作は、すぐパパのところに帰りたいって言うし



……



「准一さん」



「はい」



「あなたには娘が迷惑をかけた。この通り」



父親は頭を下げた。



「いえ。やめてください。僕が至らなかったせいです。和佳子さんを



岡田は父親の後ろに座っている和佳子を見た。



「幸せにできなくて



和佳子は黙って俯いている。



父親は和佳子を振り返り、


「なんで、こうなってしまったのかねぇ」



と呟いた。



「しかしねぇ准一さん」



「はい」



「私は、和佳子が可愛い」



父親は力を込めて言った。



「いくつになっても、娘は娘だ。あなたが駿作を育ててくれるというなら、無責任だと思われるかもしれないが



「いえ



「私らは、和佳子の病気を治すことに専念できます」



母親も泣きながら頷いて、隣に座っている和佳子の肩をぎゅっと抱いた。







両親が車で和佳子を病院に連れて帰ることになった。岡田は、両親に先に車で待っててくれるように言って、和佳子を引き止めた。



「ワコ




和佳子は岡田に虚ろな目を向けた。



「俺も君を裏切った」



……



「だから、おあいこだ。俺に悪いことをしたなんて、もう思う必要はない」



和佳子は伏せていた目を上げた。



「駿作は君にとっては、どうか知らない。でも、俺にとっては誰よりも大事な宝物だ」



「あなたの子じゃないのに



「そんなのは関係ない。駿作が生まれてきてよかったと俺は思ってる」



和佳子は何も言わなかった。




岡田は和佳子を車まで送って行き、そこで別れた。


小さくなる車を見送りながら、岡田は和佳子とのこれまでを振り返った。



悔いが無いかと言えば、嘘になる。


和佳子の病気が治るのを待てずに、途中で放り出した。和佳子を幸せにできなかった。



ごめん。和佳子。



車が見えなくなって、岡田は、ポケットに両手を入れて、はぁとため息をついた。


それから顔を上げ、岬のマンションへ向かって歩き出した。