欲望の導きへ続け 10 嵐のような | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

※本日2話目の更新ですチュー








前髪の間から覗く健ちゃんの切なげな瞳。


私は健ちゃんを傷つけてしまったんだろうか…。


「健ちゃんを…信じてないとか…そういうんじゃないよ?」


「今の俺は信じてるけど、明日の俺はどうなるかわからない…そう思ってんだろ?」


「…それって、やっぱり…健ちゃんを信じてないことになるの?」


「…さぁ。どうかな」


素っ気なく言って、荒っぽく私の胸にむしゃぶりついた。



「健ちゃんっ…怒ってる…の?」


健ちゃんはそれには答えず、乳房を掴み、口に含む。



指の関節が男っぽくて、

眉根を寄せた表情が女の人みたいに綺麗で、

赤い唇や舌がセクシーで…


健ちゃんを感じることのできる数少ない、最も敏感な場所を、いつもより荒々しく刺激されて、私は身をよじって声を上げる。


「やっぱり…怒ってる…っ…」


「怒ってなんかねーよ」


ほら、その口ぶりがもういつもと違う。


「だって…いつもと…違う…っ」


「いいだろ別に」


甘噛みされて、体が跳ねる。




「台風のせいだよ」



「…え?」



「なんか…興奮してんだ」






***




ゆかりには台風のせいだと言ったけど、そうじゃなかった。


明日はどうなるかわからない。


たしかに、それは真理だ。


特にゆかりは、ふたつの大きな事故を経験している。それらによって水泳選手としての道を絶たれ、母親を失った。自分も生死の境をさまよった。


大きな拠り所を失う経験が、彼女にはあった。だから、明日は何が起きるかわからないという人生観を、彼女が強く持つのも仕方ない。


だけど…




そのふたつの大きな事故のとき、




俺、は、どうしてた?




変わらないものもあるんじゃないか?



ゆかりにとって変わらないものは、俺の愛なんじゃないのか?


そうは思ってくれないのか?


俺だけは、俺という拠り所だけは、失うことはないと、そう信じてくれてもいいんじゃないか?


あまり冷静にふたりの未来を見ないで欲しい。

それは俺の役目であって、ゆかりにはもっと盲目的に俺の愛を信じていて欲しい。


何の憂いもなく、ただ俺の愛に溺れていて欲しいんだ。


永遠の愛なんて、夢かもしれないけど、夢だっていい。そんな夢を俺はゆかりに見せてやりたいんだ。


そんなのは、俺のエゴかもしれないけど…。


ゆかりに、俺の愛を信じきらせることができない。


それが悔しくて、寂しくて…ゆかりを溺れさせたくて、無我夢中でゆかりを抱いた。


ただ愛だけをぶつけて、それ以外のものはみんな奪い去ってしまうような、嵐みたいな激しいセックスだった。