光の粒 2 条と剛 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?


桃に呼ばれて、初めて桃の家に行った。


リビングに入ると、条先生がソファで数学雑誌を読んでいた。


「こ、こんばんは…。おじゅましま…」



「お邪魔しますだろ」


条先生が雑誌から目を離さずに言って、それからチラッと俺を見た。


「お、お邪魔します!」


マジこえーっ!マジ緊張する。


条先生はまた雑誌に視線を戻した。


え?無視かよっ。


声をひそめて隣の桃に、


「お、怒ってる?」


って聞くと、


「あれが普通」


って桃が囁いた。


「おまえ、一緒に住んでて平気?緊張しねー?」


「まさか」


桃が顎を上げて、フフンとちょっと挑発的な視線を俺に投げた。

なんだなんだ。可愛いってか色っぽいじゃねーか。


チューしちゃうぞ。いや、ダメだ。条先生に殴られる。


「ああ見えて…超〜っ優しいから。剛くんよりずーーっと」


「は?マジ?」


ジェラシー…。


「あ。嫉妬してる」



「してねーよ。おっさんだもん」


「誰がおっさんだよ」


「わーっ!な、何も言ってません!」


「じゃ、剛くん、勉強しよ。こっち」


桃に言われて、条先生に背中を向けた。桃のあとについて行こうとすると…


「待て。ここでしろ」



「え?」


桃とふたりして条先生を振り向く。



「そっちのテーブル」


ダイニングテーブルを指差して、条先生が立ち上がった。


それから、椅子に座って、テーブルに肘をついて俺たちを見た。


「早くしろよ。長居はさせねーぞ」


「え?嘘でしょ?条くんの監視付き?」


「当たり前だろ。俺の目の届かないとこでふたりきりにさせるかよ」


「何もしないよ!」


「いいから座れ」


「やだっ!条くん、やっぱおじさん!やらしい」


「うるせーっ」


「い、いいよ。桃、どこでもいいよ俺。ここでしよう」


俺は緊張しながら椅子に座って、リュックの中から数学の教科書を取り出した。


条先生が無言でテーブルに置いた教科書を手に取って、両肘をついてパラパラとめくる。


「どこやってんの?今」


「え?どこって…」


「試験範囲は?」


俺は条先生が手にしている教科書を覗き込んでページを繰った。


「ここまでです」


「…ふぅん」


しばしの沈黙。


「あ…あの…」


教科書を見ている先生におずおずと話しかける。


ひょっとして、教えてくれるつもりなのかな…。


「なに?」



「あ、いや…あの…」


嬉しいような怖いような…。


じっと先生の顔を見守っていると、先生が


「甘えた顔してんじゃねー」


ってポンと教科書を俺の前に置いた。