リボン 23 条からのライン | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?


すぐに戻ってくる。
戻って来たら、連絡する。


その約束通り、条くんはラインをくれた。深夜2時頃だったと思う。







遅くなったけど、
今戻った



お疲れさま
おかえりなさい



起きてた?



ウトウトしてた



起こしてごめん


平気



じゃ、明日も早いから
おやすみ




連絡ありがとう
おやすみなさい






いつもながら、シンプルなライン。「おかえりなさい」に対して「ただいま」が無いのが少し気になったけど、とにかく約束通り戻って来て連絡もくれたわけだし…。


今は心配しても仕方ない。


あの歌が私に向けられたものだと思って、私は条くんを信じようと気持ちを強くして、眠りについた。



そして翌日、修学旅行の最終日を迎えた。


条くんは、相変わらず素っ気なかった。








東京に戻って、空港で生徒を解散させた後、教員だけで締めの挨拶をして、解散になった。


やっと業務が終わった。明日は代休でゆっくりできる。


条くんは、今晩、どうするだろう。私はチラッと件先生と話してる条くんを見た。

まだその辺に生徒がいるかもしれないから、一緒に帰るわけにはいかない。


いつもなら、私からどうする?と持ちかける前に、条くんから、ふたりで会う段取りを連絡してくれるんだけど…。



今夜、条くんは、きっとゆうべ千帆さんと会ったときのことを話してくれるだろう。今までみたいに、正直に。


何もなかったって私を安心させて、「心配させてごめん」って言って、それから、


桜ぁ…って私の名前を呼んで…


抱き合ってキスをして…


ボーっとそんなことを想像してたら、


「上野」


っていきなり条くんに呼ばれた。



「は…はいっ⁈」



「これ、お前のだろ?」


お土産の紙袋だった。


「あ!す、すみません」


うっかり置き忘れてた。危ない危ない。

その紙袋の中には、千歳空港で買った北一硝子のお土産も入っていた。

赤い硝子が、条くんにもらったペンダントとお揃いみたいなネクタイピン。


私は条くんから紙袋を受け取った。


「ありがとうございます」


今夜、条くんに渡すんだ。喜んでくれるかな。



「…ん。あと大丈夫?」


って条くんがあたりを見回す。



あ…。なんか優しい。



「忘れもんねーな」



「は、はい。…あの…」



今晩、どうするの?



すると、目が合って、条くんが私の言いたいことを悟ったのか、


「…家着いたら、連絡して。行くわ。話あるから」



って囁いて、すっと件先生のところに戻った。