keep going 26 宝と条 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

救急車には条くんが一緒に乗った。
俺は後から条くんと上野さんの荷物を持って、タクシーで病院に向かった。


やはり、アナフィラキシーショックだったようで、


「注射打ってもらって、今やっと治ってきてる」


治療室から条くんが出てきて、そう言った。


「よかった。びっくりしたよ」


「…うん」


「原因は?」


「頭痛薬を飲んだらしいんだけど…」


「ああ」


「それがいつも飲んでるやつらしくて。他の薬と一緒に飲んだわけじゃないし、激しい運動をしたわけでもないのに」


「そんなこともあるんだね。体調によるのかなぁ。怖いな」


「お前さ…」


腕組みした片方の手で顎に触れながら、条くんが、


「…なんかしたわけじゃないよな。あいつに」


って鋭い視線を俺に投げる。


「…え?」


「だっておかしいじゃん。あんななる理由がわかんねーよ。薬はふだん飲んでるやつだし。俺が行ったとき、お前あいつのことハグしようとしてたのか、もうしちゃった後なのか知らねーけど」


「し、してないよ!」


慌てて言うと、いきなり条くんに胸ぐらを掴まれた。


「ふざけんなよっ!」


「じょ…条くん…っ⁇」



「じゃあ何してたっ⁈」


「な、何も…っ」


「……」


条くんは息がかかるほど顔を近づけて、低い声で、


「正直に言わねーと…」


って呟きながら俺を鋭く睨んだ。


「ぶっ殺すぞこらっ‼︎」


つり上がった眉と鋭い瞳の前で、ゆるくウェーブのかかった髪が揺れる。


ああ…まずい。

条くん、無茶苦茶怒ってる。


そりゃそうだ。彼女があんなふうになったんだから。


俺は観念して


「正直に言うよ」


って言うと、条くんが胸ぐらを掴んでいた手を離した。



「でも、信じてもらえないかもしれない」


俺は上目遣いで条くんを見返す。

条くんの彼女なのに、俺に抱きついた上野さんの真意がわからない。

何か理由があったんだろうか。