keep going 22 井ノ原校長 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?


イノッチ、お誕生日おめでとう🎂
心から
イノッチのこと
尊敬してます‼︎




「ほんとに怪談になっちゃったんだね」

って言いながら、井ノ原校長が書棚から過去の卒業アルバムをまとめて出してくれた。


ドンッ!と机の上に置く。


「はい、これで全部」


「すみません」


って俺は椅子を引いて座り、アルバムを一冊手に取って開いた。



「見るのは三年おきでいいだろ。全部見てらんねーよ」


条くんも隣に座り、白いシャツを腕まくりしてアルバムをめくった。


もしも、10年以上前のアルバムに載っていたら、それこそ、ほんとに幽霊かもしれないってこと。


「これ、やだねー。載ってたら」


って井ノ原校長がパラパラとめくって、


「わあっ‼︎いたっ‼︎」


って慌ててアルバムを落っことしそうになる。


すかさず、条くんが、


「校長、顔知らねーじゃねーかよっ‼︎」


って突っ込むと、


「ああ、そうだったそうだった。俺見てないんだった。その子」


って笑った。


「ところでさぁ…なんで校長がグリ団入ってんの?」


アルバムを見ながら条くんが呟いた。


「いやあ、あれね、頼まれちゃったのよ」


「誰に」


「グリ団の団長。黄団、桃団、赤団ってカミセンが踊るじゃない?それに対抗して?やっぱグリ団も欲しくなっちゃったんじゃないの?」


「対抗して?」


「俺ぐらいでしょ?だって。カミセンに対抗できるイケメンって言えばさぁ。あ、そうだ。俺保健室行ってくるわ」


「は?なんで?」


「ちょっと筋肉痛だから湿布もらってくる。もう踊ったら即行筋肉痛なるのよ。若いからほら。すぐ来ちゃうの」


「はあ?」






しばらくすると、保健室から井ノ原校長が戻ってきて、

「ほいっ」


って何人かの生徒のクラスと名前が書かれたリストを机に置いた。


「なに?」


って条くんが眉間に皺を寄せてリストから校長に視線を移す。


「保健室からもらってきた肌の弱い子のリスト。こっから割り出せるかもしれないでしょ。その子。顔写真だけじゃ見つけられなさそうだからさ」


「あ…」


そうだ。肌が弱いからブラまで着替えるって言ってたんだった。


「でも多分現役の生徒じゃないっすよ」


「卒業生も入ってる。過去10年分までだけど。それより古いのは保管してないって。

まあ、健康記録帳に肌が弱いって記載のある子だけだから、彼女が書いてなければ、そこには上がってこないけどね」


そう言うと、パソコンに向かい、♪レッツゴーレッツゴー君がため…なんて鼻歌を歌いながら、仕事を始めた。


「ありがとうございます」


俺と条くんは顔を見合わせた。


なんていうか…井ノ原校長にはいつも見守られてるって安心感があるな。

俺たち三人と一緒になってワイワイ楽しんでるかと思いきや、やっぱどっかで一歩引いて全体を見てる。

校長なんだから当たり前といえば当たり前なんだけど。

校長という重責を全く感じていないような軽やかさで明るく楽しくやってるから、こっちも気持ちよく仕事ができる。


もしも将来自分が校長になることがあるなら、あんなふうな校長になりたいな…。


「おい、手止まってんぞ。宝。何校長のことじっと見てんの」


「え?ああ、ごめん」


すると、井ノ原校長が、

「なに?俺のこと見てたの?イケメンだから?見惚れちゃった?」


ってわざとカッコつけて髪をかきあげた。俺は思わず吹き出した。

校長は条くんにシラーっと見られて、肩をすくめてクシャッと笑った。