keep going 17 返却 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

条くんにお仕置きされたその日は、俺と条くんが巡回当番だった。


7時ごろに巡回を始めて、長い廊下を見渡し、誰もいないことを確認して、廊下の電気を消した。


パチン。



「きゃっ!」


え⁇


慌てて電気をつけると廊下の端に生徒がひとり佇んでいる。


まだ体操服を着ている。



「ごめん!」


気がつかずに消灯したことを謝ったら、後ろから条くんがツカツカと歩いて来て、


「こらっ!まだ着替えてないのか?7時過ぎてるぞ!」


って叱った。



「あ。条くん、あの子…昨日ブラジャーを忘れて帰った子だよ」


「なに?」


条くんがピクリと眉を動かす。


「すみません!」


って慌てて頭を下げる彼女の方に条くんが歩いて行って、


「お前、昨日忘れ物しなかった?」


って言うと、


「忘れ物?さぁ…」


って首をかしげる。


俺も彼女のところへ行って、


「昨日君が帰ったすぐ後に教室で忘れ物見つけて…」


「何ですか?」


「え?」


って俺と条くんは顔を見合わせる。


「私、何か忘れてました?」


って目をパチクリさせて首をかしげる。


お前が言えよ、的な条くんの視線。


「えっと…し…下着…ってか…あの…ブ…」


「ブ⁇」


彼女が眉をひそめる。


条くんが腕くんで俯いて笑いをこらえている。


くそッ。

俺は咳払いして、


「あの…持って来ようか?多分君のだと思うんだけど」


って職員室を見る。


「あ…はい。…あの…ひょっとして…え?もしかしてあたし…」


「ちょ、ちょっと待ってて」


職員室に戻って、引き出しからブラジャーを取り出し、また廊下に戻って彼女に渡した。


ハンカチをめくって、彼女が、あ!と小さい声をあげる。


「あたしのです…///」


彼女が赤い顔をして、


「あたし、あの…肌が弱くて。汗とかもダメなんで、いつもブラも着替えるんです」


「そうなんだ」


いや、別にそんなこと説明してくれなくていいけど。でも、ノーブラで帰ったわけじゃないみたいだよ。健くん。


「すみません。あの、ありがとうございます。ハンカチ、洗濯して返します」


彼女は鞄にブラをしまうと、ぺこりとお辞儀をした。

「失礼します」


「大変だな」

って条くんが呟く。


「え?」


「汗すごいかくだろ。団練習。朝練もあるし。着替え大変だな」


さっき彼女を叱った条くんの目が、今は優しい。



「…たくさん持ってきてます。でも、あの体育とかもそうなんで慣れてます。それに…あたし、ダンスが好きだから」


って彼女が顔を輝かせる。


「この学校の体育祭に憧れて、あたし、ヴィクトリー校に入ったんです」



「そう」


可愛いな。やっぱり一年生は。


「気をつけて帰れよ」


「はい、失礼します!」


彼女と別れて職員室に向かいかけてから、あ、と思って彼女を追いかけた。


「ちょっと…君、クラスと名前…っ」


でも薄暗い階段に彼女の姿はもうなくて…


「はえーな…もういないじゃん」



って条くんが俺の背後から階段をのぞいて呟いた。