藤壺の上の御局で、帝は藤壺の女御を後ろから抱き締めて座り、月を眺めていた。
「…ご立派でしたわ」
女御はそっと自分の胸にある帝の大きな手に自分の手を重ねた。
少し振り向くと、月明かりに照らされた帝の青白い顔が、自分の肩の上にある。
帝が気づいて優しい眼差しを女御に向けた。
「寂しいか?あれがいなくなって」
「はい。少し…」
帝は、藤壺の女御の顎を持ち上げると、そっと唇を吸った。
「でも…私には上様がいらっしゃいますもの」
女御は、帝の胸に背中を預けた。
「ふ…っ…」
急に帝が思い出し笑いをした。
「どうかなさいました?」
「いや…」
「何をお笑いになりますの?」
帝は、左大臣から閨での営みについて教えを受けていたときの我が息子の顔を思い出していた。
フッ…。頬を染めて仏頂面をしていた…。
「今ごろ…どうしているかと思って…」
「まあ…///」
藤壺の女御は赤い顔をして俯いた。
すると、胸の合わせから、帝の手が忍び込んで柔らかな乳房を包んだ。
着物がするりと肩から落ちて、女御の白い柔肌が月明かりに濡れた。
「上様…っ…」
帝は、自分の指に導かれて、他愛なく艶っぽくなってゆく若く美しい妃が愛しかった。
「私が…教えてやった方がよかったかな…」
藤壺の女御の艶やかな髪を払いのけて、露わになった細い首に唇を這わせる。くちづけのあとが月明かりに光る。
「そなたに…教えたように…」