ふたりのパン屋 4 恋の進め方 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

麦さんの部屋は、ラベンダーだろうか、ハーブのいい香りが漂っていた。



建物自体が古い上に、アンティークな家具や置物があって、どこか懐かしさを感じさせる部屋だった。



俺の視線に気づいて、麦さんが顔を赤くする。



「ただでさえ狭いのに、ごちゃごちゃしてるでしょ?」



「いや…」


たしかに、物は決して少なくない。


「座って」


と言われて手作りとおぼしき可愛いらしいクッションに座る。



インテリアには興味があるから、ついキョロキョロ辺りを見回してしまう。


ふぅん…。



「ねぇ、あんまり見ないで。掃除してないから」


白い琺瑯のケトルで湯を沸かしながら麦さんが言う。




「いや、充分綺麗じゃん」



「うそ」



「これだけ物があるのにさー、統一感があるって逆にセンス感じるなぁ」


「本気で言ってる?」


「本気本気」


古い物、ナチュラルな物、温もりを感じさせる物…。麦さんの好みがわかる。




「温もりを感じるってか、あったかいってか…帰りたくなくなる…」


おっと失言。

独身女性の部屋に上がり込んでいきなり帰りたくないとか…。


「ような、というか…///」


と慌てて言葉を濁した。


麦さんは黙っている。


そんなつもりはないのに、これじゃ口説こうとしてるみたいじゃん。


俺がホストで、麦さんがお客さんなら、それで問題はないんだけど。


そうじゃないから…


恋って、どんなふうに進めるんだっけ…?