ほんとの恋愛には…不慣れだ。
朝顔が花さんと結婚するまでは恋愛を避けてきたし、
結婚したあとは…
恋に臆病になってしまった。
夜道を並んで歩く麦さんの横顔を見る。
美人だし、しっかりしてるし、年も同世代だし、性格もサッパリした感じだし…どちらかといえば、好みだ。
もちろん仕事の付き合いだけだから、彼女の女の部分はわからない。
付き合ってみたら、めんどくさい性格ってことも考えられる。(人のこと言えないけど。)
彼女のアパートに着いて、階段を上がる。
小さな古いアパートだった。
「ありがとう」
部屋のドアの前で麦さんが振り向く。
「いえいえ。お安いご用」
「あの…お礼に…」
おっと?
「ハーブティー、淹れようか?飲んでく?」
ってちょっとぎこちなく言う。
キタっ!
朝顔、来たぜ。
「いいの?」
嬉しさを隠して、遠慮がちに上目遣いで麦さんを見る。
「どうぞ」
って麦さんがホッとしたように微笑む。
麦さん、ガード緩いじゃん。いいのかなぁ。妙齢の独身女性がそんなんで。
それとも…
相手が俺だから?
とか…思っちゃっていいのかな…。
「じゃ…」
お邪魔しますって麦さんの部屋に足を踏み入れた。