明日は博の誕生日で、剛くんたちに託された大事なミッションがあるっていうのに…
俺の…俺の…コツコツ貯めてきた長野ポイントをこれ以上減らすわけにはいかない。
「ちょっとムリ。明日、できない」
って公演前の楽屋で、剛くんに言った。
「なにが?」
「アレだよ」
「アレって?」
「忘れてるならいいよ。うん。忘れて。あ、そっか。冗談だったの?」
「冗談じゃねーよ。忘れるわけないでしょ。長野くんの誕生日に岡田が長野くんのパンツをずら…」
「シッ!」
長野くんがスッとやって来て、鏡の前で前髪を整える。
健くんが長野くんの隣に来て、長野くんの前髪に触れながら、
「汗かくとさ、長野くん、いつもペチャってなっちゃうから。もうちょっと短くしたら?」
って微笑んで前髪を整えてあげている。
微笑み合うふたり。ああ、和む。
「健くん、俺は?」
って前髪をいじりながら上目遣いで健くんを見る。
「は?しっかり固めろよ」
「やってくんないの?」
「自分でやれよ」
「なんだよ〜その塩対応。じゃ、博やってよ」
「自分でやれよっ」
「ひろしぃ〜っ」
博は微笑みながらクルッと背を向けてその場を立ち去り、俺たちは3人だけになった。
実は、さっき博のメイク道具を勝手に持ってって元に戻さなかったから、博に「減点?」って聞いたら、「マイナスだよ」って言われたんだ…。
「剛くん、まずいの。だから。俺、長野ポイントマイナスなんだぜ?明日もし…」
「よかったじゃん」
って剛くんが俺の右肩を叩く。
すると、健くんが俺の左肩に手を置いて、
「かえってやりやすいじゃん」
って微笑む。
「どこがっ?」
って左右のふたりを交互に見る。
すると、ふたりが俺を見ながらニヤリと笑い、口を揃えてこう言った。
「「失うものは何もない」」
※長野くん、ハッピーバースデー🎉
「継続は力なり」は、長野くんの誕生日のお祝い小説です