夢小判三人譚 41 生きる誓い | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

*お誕生日が終わり、ふたたび、お江戸へタイムスリップいたしま〜す(^^)







桜に呼ばれて、坂本たちはお聡の部屋に駆けつけた。


さっきまで気を失っていたお聡が、玉の汗をかいてウンウンと苦しそうに呻っている。


「お聡っ!」


准は堪らず枕元に駆け寄って、お聡の手を取った。


お聡の手を両手で握って固く目を閉じて心の中で祈る。



頼むから…っ…

死なないでくれ…!



長野様亡き後、自分を生かしていたものは仇討ちという使命だけだと、准は思っていた。


だから潔く腹を切る覚悟も出来ていたのだ。


それが…お聡に出会ってからは…


准さん、と自分を呼ぶお聡の親しげな温かい声。にっこりと自分に笑いかける優しい笑顔。




お聡が、ふいに目を覚ました。



「お聡…っ!」


「…准…さん…」


ハアハアと浅い呼吸を繰り返し、時々苦痛に顔を歪める。


「お聡…!死ぬな…っ」



「准さん…」


「なんだ?」



「あた…しゃ…」


小さな声を聞き取ろうと、色を失った唇に耳を寄せる。


お聡の頼りない息が准の耳にかかった。


「なんだ?ん?」


「准さんの…」


「……」



「み…未練に…なり…たか…っ…」


言い終わらないうちに、お聡は目を閉じた。


「ばかやろうっ!」


准は思わず叫んだ。


「もう…とっくに…未練になってる…っ!お聡!俺は…お前を置いて死んだりは…だから…っ…お前も…」


…俺を、置いていくな…っ!



「どけっ」


坂本が准をどかせて、お聡の様子を見た。


それから、坂本が何やらキビキビと桜やおゆうに指示を出すのを、准は涙でぼやけた目で、ただ茫然と見ていた。