夢小判三人譚 37 急患 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

部屋の外がバタバタと慌ただしくなり、桜とおゆうは身を寄せ合って小さくなった。

剛春はそっと襖を開けて、外の様子を伺った。


坂本の後について廊下を歩いて来るのは…


次郎吉と…お聡さん⁇

鼠小僧がお聡を肩に担いでいる。


「こっちへ…!」

切迫した様子で坂本が隣の部屋の戸を開けて、ふたりを通した。


そのとき、剛春の目に黒づくめの鼠小僧の横顔が見えた。


……⁇

次郎吉じゃねえ…。


ありゃ…ひょっとして、准の字?


しかし、なんだって鼠小僧の真似なんかして…。さては…小判を撒いたのは准の字の野郎か?


「剛春さん…?」


桜が不安げに声をかける。


「あ…ああ。大丈夫だ。屋敷の者じゃなかった。…怪我人だ」


剛春は襖を閉めて、桜たちの方に向き直った。





ドサッ…。


准は肩からお聡を布団の上に下ろした。


坂本が手際よくお聡の着物を脱がせ始める。准は目のやり場に困って俯いた。



「人手がいる」


と呟くと坂本は准の方を見て、


「鼠さん、あんたここにいちゃまずいだろう。今からちょいと人を呼ぶぜ」


「し、しかし…」


心配そうにお聡を見る准に、


「そばについてたいってんなら、着替えな。そこに着物が入ってる」


と顎で行李を指した。


「かたじけない」


准が着替えるそばで、坂本はお聡の手当てを始めた。准が着替え終わると、サッと立ち上がって部屋を出て行った。





ほどなく、坂本は桜とおゆうを連れて戻って来た。


ふたりは坂本に指示された通り、手拭いや湯を張った盥を持って部屋に入り…


怪我人を見て声を上げた。


「お、お聡さん…っ⁇」