元彼元カノ 13 おいで | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

「うん。ガキだった」


って花乃に言われて、俺は照れて肘をつき、指先で額を抑えて俯いた。


「でも、それはお互いさまだよ」


俺を慰めるような花乃の言葉に、



「そうかな…。花乃はお姉さんだったよ」


って指先で額を抑えたまま上目遣いで花乃を見る。



「そうでもないわよ。あの頃の歳の差ってひとつふたつでも随分大きく感じるけど…」



「うん…そうだね」


額から指を離して、腕組みして椅子にもたれた。


目が合うと、花乃がクスッと笑って立ち上がった。



「飲もう!奢っちゃう!」


花乃がワインを取りに行くのを振り返って見る。これ行こう!って棚からいいワインを選んで持って来た。


花乃からワインを受け取って


「え?いいの?」


ってラベルを見る。


「いいのいいの」

って言うから、俺はその上等そうなワインの栓を開けた。






ふたりで思い出話をしながらいい感じに酔ってきたとき、花乃が、



「ねぇ…准くん…」


って首を傾げて甘えるように俺を見た。


「こっち来て」


って空いたソファの隣をポンと叩いた。


ドキッとした。



「いや…///」



って意味もなくワイングラスの脚を持って俯いた。



「おいでよ」



「花乃、酔っ払ってるよ」



って俯いたまま笑って首を横に振る。




「だから?」


…だから?



顔を上げると、花乃が唇を尖らせて俺を見ていた。


その赤い艶やかな唇を見て、初めてディープキスをした相手が花乃だったことを思い出した。


顔が熱いのはワインのせいだ。


「はやくぅ〜」


って花乃が手を伸ばして俺の腕を掴んで揺らした。


「ちょっとちょっと…///」



「おいでおいで」


って引っ張られて、俺は仕方なく、花乃の隣に腰を下ろした。


「じゅーんくん♪」


って花乃が俺の腕に腕を絡めて来たから、


「ダメダメダメ」


って俺は笑いながら腕をほどいた。


「いいじゃん。ケチ〜」



いやいや。完全に酔っ払ってるだろっ。



「あ。すごーい!すごいすごい!なにこれ?かたーい!」


って俺の肩や腕をベタベタ触る。



「こらこらこらっ」


って花乃と距離を取るべく、少しだけ横にずれた。


すると、ふいにベタベタ触っていた手を止めて、花乃が


「大人になったね…」


ってしみじみとつぶやき、俺の腕にすっと腕を絡めた。



……。






なんとなく、その腕を解けなかった。





花乃は今、幸せなんだろうか…。



ふと、そんなことを考えてしまったから。






花乃が俺の肩に頭を預けて、



「好きだった…?」


って呟く。



「あたしのこと…」





付き合ってた頃の気持ちを聞かれているわけだから、当然、好きだったと答えるべきなんだろうけど、


この雰囲気でその言葉を言うのはまずいだろう。きっと。



かといって、返事をしないと、あの頃と同じように花乃を傷つけてしまいそうで…。



「そんなに…好きじゃなかった?女の子なら誰でも-」




「そんなことないよ」



花乃の方は見れなかった。



女の子なら誰でもよかったなんて…



「そんなことない」



広げた脚の間で組んだ手を見て、そう言った。