元彼元カノ 7 主演男優 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

花音の母親の、つまり俺の元カノのビストロに、聡美と食事に行くことになった土曜の晩。


黒とベージュの上品なワンピースに身を包んだ聡美に、


「きれいだよ」


って言うと、聡美がにっこりと微笑んで俺の肩に手を置いた。


「また大きくなった?このジャケットパツパツ」


ってベージュのジャケットを眺める。確かにちょっときつい。


「ちょっと来なさい」


って手招きされて、寝室に行くとクローゼットを開けて、聡美が俺の服を物色する。


あれこれ取り出しては俺に合わせてみて、


「これにしたら?」


ってグレーのシンプルだけど編みの凝ったサマーニットを出した。


「ジャケットじゃなくていい?」


って片眉を上げる。


「大丈夫。ジャケット姿は懇談で見てるし」


「なんの話?」


「女の話」


「え?」


「あたしも着替えよ」


「なんで?きれいだよそれで」


聡美は俺を無視してブルーのワンピースに着替えた。


グレーのニットに黒のパンツを履いた俺の腕を引っ張って姿見の前に並んで立つ。


「ほら」


うん。なるほど。なかなかオシャレな大人のカップルに見える。


…っていうか…

聡美が俺の元カノに会うのに気合いを入れてオシャレするのはわかるけど…

なんで俺まで…


ああ。そうか。


「俺は聡美のファッションの一部?」


もちろん悪い気はしない。俺はオシャレには興味がないし、聡美が引き立つならそれでいい。


そんな聡美を微笑ましく思って笑顔を向けると、


聡美がポカンとして俺を見ていた。


「今日の主役はあなたよ?」


「え?」


「…っていうか…いつも女の観る映画の主演男優はあなたなんだから」


「どういうこと?映画?」


呆れ顔して去っていく聡美を追いかける。


聡美がクスクス笑っている。


「さっきからわけわかんないんだけど。なんの話してるの?」


「だーかーらー…」


って聡美が振り向く。


「オ、ン、ナの話♡」


って腕組みして悪戯っぽく微笑んだ。