噂 11 なりすまし | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

佐久間の話によると、橋本に問い詰めたところ、それは自分じゃないと否定したらしい。

橋本自身、覚えの無いツイートで、おそらくアカウントを乗っ取られたのだと言う。



佐久間はその真偽を確かめる術もなく…


その日のうちにそのアカウントはツイッターから消えて、もちろん画像も無くなっていた…。


「怪しいな…」

って俺は腕組みをする。


「ですよね?」


「おまえが指摘したとたん、消えるなんて、怪しい」


「そうですよね?やっぱり橋本さんだったんでしょうか?あたしに嘘をついたってことですか?」


「もう少し泳がせとけば、なりすましじゃなくて、本人だってわかったかもしんないなぁ」


「すみません。…直球で」


「いや、それはいいよ。済んだことだし」


「でも、橋本さんの言うことも本当かな、とも思うんですよね」


「なんで?」


「だって…条先生を好きな橋本さんがたまたま条先生と上野先生のデート現場見ちゃうなんて…そんな偶然あります?それに、画像につけたコメントが『お幸せに』ですよ?」


「自分なら、そんなコメントつけらんないって?」

って俺は熱くなり始めた佐久間を冷ややかに見る。



「当たり前ですよ!そもそも、健ちゃん先生と奥さんのツーショットなんて自分が見るだけでもイヤなのに、それをなんでツイッターでばら撒かなきゃいけないんですか!」


って佐久間が両ひじを張って、悔しげに地団駄を踏む。


「ちょ…ちょっと…」


すぐ興奮すんだから。


「あたしなら絶対そんなことしませんよっ!」


「置き換えるねお前…」


「やっぱり、なりすましですよ!橋本さんじゃないんです」


「なりすましの目的は?」


「……うっ…」


「あのさ、そもそも画像はUPした本人が撮ったもんとは限らないだろ?橋本が条を好きなのを知ってる奴が橋本に送ったのかもしれないし、拾いもんかもしれないし…」


「あ、そっか」


「だいたいさ、その『お幸せに』が肯定的なコメントとは限らないでしょ?皮肉じゃないの?」


「皮肉⁇」


「そ。アイロニー。呪いの言葉だったりしてな」


ってニヤリとする。


「の、呪いの言葉ー⁇」


「文字の怖いところだね〜。ニュアンスが伝わらねーもんな。だからトラブるんでしょ?」


佐久間がキョトンとしている。

そういう裏の意味を探ろうとしないのがこいつの可愛いとこなんだけど…もちろん可愛いなんて言ってやらない。


「おまえってほんっとバカだな。帰るぞ」


って俺はサッサと神社の階段を降りた。