噂 16 尋問 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?




始業式の日、俺は、さっそく橋本を相談室に呼んだ。


「これ書いたのお前だろ」


アンケートの紙を見せて、単刀直入に切り出した。



「…違います」


しれっと言われて、俺は眉をひそめる。


「あたし、そんなこと書きません」



バンッ!と机を叩いて、低く呟く。



「ふざけんなよ…」



橋本がビクッとした。上目遣いで俺を見る。


「正直に言え」


静かに橋本を睨む。

男だったら襟首掴んで壁に押し付けてやるとこだ。



「アンケートは無記名式です。どうしてあたしだってわかるんですか?」



「字見りゃわかるでしょ」


こともなげに言ってやると、橋本は目を逸らして俯いた。


しばらく沈黙が流れた。

観念したものだと思った。

先生ごめんなさいって泣き出すに決まってる。

ところが、橋本は俯いたままこうつぶやいた。


「先生たちに都合の悪い回答を書いたら、こうやって犯人探しして、怒られるんですか?匿名の意味無いと思いますけど」



「お前なぁ…」


こいつ…。怒りがふつふつと湧いてくる。


俺は橋本に顔を近づける。


「匿名だったら何書いてもいいってもんじゃねーんだよ。アンケートの目的は授業改善だ。建設的な意見を書く場だ。誹謗中傷を書くとこじゃねー」


橋本が俺を見返す。

少しだけ口角が上がっている。


「…なにがおかしい?」



「そんな説明、アンケートのときに上野先生はしませんでした」


此の期に及んで、桜のせいにすんのかっ⁈



「んなこと説明されなくてもわかんだろっ⁈」



つい、感情的になってしまうのを抑えられない。



「こんなもんは…」


って俺は紙の上に手を置く。



「便所の落書きと一緒だ」



俺と目を合わさない橋本の顔を睨みつける。



「下品にも、ほどがある」



橋本の顔がカッと赤くなった。