「なにがもったいないの?」
って窓を開けてベッドの上のあたしを振り向く。
全裸の准の向こうで、夏の庭がざわめいている。
「なにがって…冷気が逃げちゃうから…」
逆光になった准のシルエットが、暮れかけた陽光に縁取られ、筋肉で盛り上がった丸い肩の先が艶やかに光る。
汗で湿った短い髪を両手で後ろに撫でつけながら、薄っすらと甘い笑みを浮かべてあたしに近づく。
ベッドの端に腰掛けると、准の重みでベッドがしなる。
首を傾げながら手を伸ばしてあたしのうなじをつかむ。
目を伏せると長い睫毛が濃い影を落とす。
准のきれいな顔に見惚れながら、その物欲しそうな唇に自分の唇を重ねる。
蝉が突然、煩いくらいにジワジワと鳴き始めた。
それが合図になったように
准が乱暴にあたしを押し倒す。「…准…っ…ンフフ…っ…待って。本気なの?なんの我慢大会?…あぁ…」
「しっ」
咎められて声を我慢する。
「本能と…獣性と…快楽の…我慢大会」
って准が密やかに囁く。
「全部…同じじゃない」
「ふふっ…」
って無邪気に笑う。
「あと…暑さ」
「だったらエアコン切ってよ。もったいない」
「どうせあっというまだろ?」
「どっちが」
「そっちが」
「どっちもでしょ」