天気はなんとか持ち、全ての団の演技が無事に終わった。
次のプログラムは、借り人競争。
カードに書いてある条件を満たす人を連れて来てその人と二人三脚でゴールするというもの。
今年は健ちゃん先生が借り人競争に出るらしい。
「あ。借り人、招集かかった。入場門行かなきゃ。…ゆかり」
って、先生があたしの耳に唇を寄せて声をひそめる。
「カードに書いてあるのが、『可愛い女の子』だったら、ゆかり、一緒に来てくれる?」
カッと頬が熱くなる。
「ムリ…///」
「なんで」
「可愛くないし…二人三脚できないもん」
「車椅子押して走るのも二人三脚だって」
「…やだ。…恥ずかしいし」
よりによって母校の体育祭で、車椅子の自分を曝すのは嫌だった。
それに、佐久間さんに見られるのも嫌だった。
スラリと伸びた綺麗な長い脚…。
「佐久間さんがいるじゃない…」
「え?」
…言ってしまった。
「だれ?」
そのとき、
「借り人競争に出場する人は、早く入場門に集合してください」
ってアナウンスが流れて、先生は「じゃ…」って髪をかきあげながら、小走りで入場門に向かった。