指導教官 3 授業見学 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

翌日。

佐久間が俺の授業を見学しに来た。


授業終わりの挨拶で生徒よりもデカい声で、ありがとうございましたっ!って挨拶すると、教室を出る俺をバタバタと追いかけてくる。


「先生っ!」


俺は佐久間をチラッと見る。相変わらず袴姿だが、髪は黒くなっていた。


「あ。ちゃんと黒染めしてきたんだ」

って、少し後ずさって黒染めした佐久間の髪を遠目に見てみる。


「なんか重いな」


とだけ言って、サッサと前を歩く。


「ちょ…ちょ…っ…重い?先生~っ!」

ってまた追いかけてくる。



「あの、先生、質問してもいいですか?」


「ダメ」


「な、なんでダメなんですかっ⁇」


「嘘だよ。なに?」


「さっきの授業の、目標は何ですか?」


「目標?」


「はい!」


「目標ねぇ…」


「はい!」


「生徒を寝させないこと」


「なるほど~…って違いますよ!生徒の到達目標ですよ!」


「わかってるよ。…お前さ…」


って俺は振り向くと、


「なんでも言葉通り受けちゃうんだから、お前は。冗談と本気がわかんないだろ?」


「わかりますよ!先生の言い方がわかりにくいんですよ!」


「いや、わかってない。まず、お前は自分の性格?性癖?それを自覚しろ。それから、言われたことも、自分が言いたいことも、いったん頭の中に入れろ。頭の中に入れてー咀嚼してからー、口を開け」


「ええーっ⁇難しいですよ。リアクションの早さが私の長所なんだけどなぁ」


「じゃあ、長所を活かしきれてない」


「活かしきれてないですかっ⁇」


「リアクションは早さより、中身。いくら早くても、噛み合わないと意味ないだろ。噛み合わないからよけい話がなが…」


「噛み合ってないですかっ⁇」


「だからそうやって被せてくんじゃないよっ‼︎」


はあ。疲れる。佐久間との会話。


「あのさ」

「はい!」

「到達目標さ、授業の始めにちゃんと提示したし、黒板の左端に板書しただろ」

「え⁇そうでしたか⁇」

「教室戻って見て来い」


って俺は教室を指差す。

「は、はい!」


バタバタと教室に駆け戻る。


俺はため息をついて、踵を返し、歩き出す。


数歩歩いたところで、

「あ~~~っ‼︎」

って佐久間の叫び声が教室から聞こえてきた。

「き、消えてる~~っ!黒板消すの早いよみんな~!」




「お前がおせーんだって」


俺は教科書を肩に担いで、条件部屋に向かって歩き出した。


ああ…先が思いやられる…。