夏祭り 11 サラサラの髪 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

先生が、


「ごめん」


ってあたしの目を真っ直ぐ見て言う。


「調子乗り過ぎた」


頭を下げて、

「殴っていいよ」

ってあたしの手のすぐそばに頭を差し出す。

ふわっと先生のいい匂いがする。夕陽を浴びて先生のサラサラの髪がオレンジに光る。


ふいに、高校時代を思い出す。

日が沈むまでプールにいたあの頃…。夏の陽射しを浴びて、キラキラ輝いていた。水も先生も…エースだったあたしも…多分。

あの頃、先生に恋をして、叶わない恋だと知りながら…それでも、こんなに辛くはなかった。

ここまで、辛くはなかった。エースだったあたしは…。

麻痺した手をぎこちなく動かして、先生の髪にそっと触れる。

サラサラ…。

先生が顔を上げて、上目遣いであたしを見る。

そっと先生の髪に触れたあたしの手を握る。

手に頬ずりするかのように、目を閉じて頬を寄せる。


…先生?

鼓動が高鳴る。なに、してるの…。


ゆっくり目を開けた先生の眼差しが、あたしの唇にとまる。

それから、目線を上げて、あたしの目を見る。

ニコッて笑う。

あ。可愛い。



「一緒に行こっか…。夏祭り」