プール 8 本当の先生が知りたい | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

「部活に入ったら…好きな人とか…できるかも」

ってあたしは明るく言う。

「え?」

「そしたら、先生、相談に乗ってね」

「あ…うん」

ふふ。驚いた顔してる。

安心して。先生。

恋ができない私に遠慮しないで。なんて…自意識過剰かな。

先生には、先生にふさわしい素敵な女の人と幸せになって欲しい。

「先生、結婚しないの?」


「え?…うん…まあ…まだ。…彼女いないし」


「なんでー?…理想高いの?先生」

「そんなことないよ」

「どんな人が理想?結婚するなら」

「えー?///…どんなって…」

「料理が上手とか」

「別にメシのために結婚するわけじゃないし。そりゃ、上手だといいけど。俺、料理できないし、それを相手に求めるのもいかがなものか、と思うよ。じゃあ自分でやれよって話じゃん」

「夫婦って補い合うものなんじゃないの?」

「ああ…まあ、そう言われればそうだけど。本人が努力してもできないことは、補い合えばいいだろうけど、料理はそうじゃない。俺、努力してないもん」


真面目だなー…先生って…。


「…別に、普通でいいよ…」


って言ってから先生は少し口を滑らせたって感じで、口をおさえる。

気まずい空気が流れる。


普通の人…。
あたしは…普通ですら、ない。


「…好きになった人が理想…って、よく言うよね?…そんな感じかな…いつも」


いつも?


先生が、また、しまったって顔をする。


ああ、またほら、すまなさそうな顔になっちゃった。だめだなぁ、あたし。


ってか…もう…やだ。

気を遣って、気を遣われて…。

それはあたしたちの優しさなんだけど、だから、一緒にいて心地いいんだけど…。


傷ついてもいいから、もっと、本当の先生が見たい。

お利口なあたしじゃなくて、もっと、わがままな本当のあたしを先生にぶつけてみたい。

あたしが、車椅子だから…あたしたちは自由になれない。

心のバリアフリーってやつなのかな、あたしが求めてるのは…。


先生の償いはいつまで続くの?

あたしから、もういいよって言わなきゃいけないの?

いつか、先生は離れていくつもりなの?

ねぇ、先生…あたしから自由になりたい?