って…。
意表を突いた問いかけに、俺は戸惑う。
好きだから。
…すっと、思いついた答えに、俺はもっと戸惑う。
いや、そうじゃない。
会いたいから。ゆかりに会って話したいから。
待て待て待て…。
それじゃ愛の告白だろっ。
ヤバい。焦る。即答した方がいいだろっこの手の質問は。
なんか、この場にふさわしい答え…。ってか、ゆかりが欲しがってる答えは、なんだ?
俺はゆかりの目を見る。
じっと…。
黒い濡れた瞳。ふっくらとした淡いピンクの唇。
ふと、自分がゆかりにキスをした男になったような気がする。
ああ…こんな感じ…前にもあった。
あのとき。ゆかりの唇を親指でなぞったとき。…できるものなら、上書きしたいと思った。
柔らかい唇に、自分の唇を重ねて…もし、受け入れてくれたら、その唇を割って…。
だーっ‼︎ばかばかばかっ!
俺は慌てて目を逸らす。
しっかりしろよ俺!先生だぞ?大人だぞ?
「…もう、いい」
ゆかりが沈んだ声を出す。
「あ…ごめん」
「先生、謝ってばっかり」
「そうだね。ごめん」
「ほら…」
ってふたりで顔を見合わせて笑う。