正義の味方 6 条と愛 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

佐倉愛は、リーダー格の恐らく彼氏であろう男の顔色を伺う。男は、行けば?って感じで、顎で俺の方をさす。


男たちは、俺が奴らに踏み込まないってわかって、気を許していた。



「はっでな化粧して、なんだよそれ?」


って、俺は佐倉の顎をちょっとつつく。

顔をしかめながら、パシッと俺の手を払って睨む。


「学校来ないで何やってんだよ」

「体育祭は行ったしー」

長い巻き髪をいじりながら上目遣いで唇をとがらせて言う。


「はあ?だから?リレーで勝っても、こんなとこでタバコ吸ってちゃダメなの」


「はあ?なに決めつけてんの?吸ってたのはあいつじゃん」


ってさっきタバコを地面に捨てた男を指差す。


「そ。お前は吸ってないんだ。…手貸して」


「やだ」


俺は強引に佐倉の手を掴んで白い指に鼻を寄せる。


「やめて…っ!」


佐倉が赤い顔して、俺の手を振りほどく。



タバコの匂いがしたから、吸ってたのは確実だ。


さて…。


「吸ってないって?」


俺は眉を上げて、佐倉を見つめる。

佐倉は目をそらす。



「まあ、いいよ」


「え?」


「見逃してやる」



「マジでっ?」


「はははっ!やっぱ吸ってんじゃん!」


「え…?…ちが…っ」


「いいよ。吸ってなくても、同席は確定だからな。指導の対象にはなる」



佐倉が悔しそうな顔をする。



「見逃してやるっつったろ?」


佐倉が俺の真意を探ろうと俺の目を見る。



安っぽい過剰なアイメイクとは裏腹に、明晰な頭脳を思わせる澄んだ瞳。



「ただし、条件がある。明日から、学校来い。少なくとも、俺の授業には出ろ。お前、数学でうち来たんだろ」


佐倉が一瞬で損得勘定をするのがわかった。


「わかった」

佐倉は即答して、微笑む。


話が早いな。


愛って名前のわりには愛敬のカケラもない奴だと思ってたけど、笑うんだ。


しかも、笑うと可愛いじゃねーか。


オトコがあれじゃ、ちょっともったいないんじゃねー?

なんて、俺には関係ねーけどな。